声まねや、さえずる鳥の脳は、霊長類や哺乳類に近い重さの脳を持っているそうです。脳は、刺激を与えて使えば使う程進化すると言われています。鳥類の脳の進化も同様なのでしょう。この記事では鳥類の脳の進化を脳への刺激という観点で紹介しています。
オウムやインコだけではなかった声まねをする鳥
オウムやインコが人の声をまねることは誰でも知っていますが、2割ほどの鳴禽類(めいきんるい)は、他の鳥のさえずりや、動物の声まね、さらに電話の呼び出し音までまねして人を驚かせます。
オウムとインコは、物まねをする鳥として有名です。また、オウムとインコ以外にも、「マネシツグミ」、「ムクドリ」、「インドバッカ」、「コトドリ」、「キバシカササギ」などは、物まねをすることで知られています。
これらの鳥は、声まねや、歌まねだけでなく、機械音や動物の鳴き声までまねすることができるようです。
ひょっとしたら声まねや歌まねなどをする鳥の脳は発達しているのでしょうか?
気になったので、鳥の脳の重さを調べてみました。
脳の重さを比べて判ったこと
研究者による生き物の研究で、脳が発達すると体積が増えて重くなることは判っています。
ただし、体の大きさが違う場合は直接比べられないため、脳化指数(のうかしすう)という数値を算出して体のサイズに影響しないように補正した上で比較しています。
ただし、濃化指数の詳細は不明です。
今回は、直ぐに調べることができた「人」、「マッコウクジラ」と「ジュウシマツ」について、単純に体重と脳の重さを比べています。
《人》
人の脳の重さは約1380グラムです。人の体重を62kグラムとすると、体重に対する脳の割合は、単純計算で2.22%です。
《マッコウクジラ》
マッコウクジラのオスの成体体重は50トンほどもあって、脳の重さは約7kgと言われています。
マッコウクジラの体重に対する脳の割合は、単純計算で0.014%です。
《ジュウシマツ》
ジュウシマツは、日本で品種改良されてできた小鳥です。ジュウシマツは、頻繁にさえずるため、ペットとして飼われています。脳の重さは、0.5グラムで、体重は12グラム程です。ジュウシマツの体重に対する脳の割合は、単純計算で4%です。
肝心のインコやオウムなどのデータは探せなかったため記載できませんが、空を飛べる鳥は軽量でなければならないという制約の中で、薄い頭蓋骨の中身は、脳と眼球に占められています。
特に、インコやオウム、それに「さえずる」鳥は、脳の比率が高い数値となっているということです。
脳重量と体重をグラフ化したデータでは、人や霊長類を含んだ哺乳類が最も脳重量が重いことを示していました。
鳥類のデータは、哺乳類に重なるようにしてやや下側に位置していました。魚類や爬虫類は鳥類よりも下側の位置(脳重量は軽量)です。
鳥の脳が発達した理由
多くの鳥は空を飛びます。空を飛ぶためには、周りの状況を立体的に目で把握しながら体を制御しなければなりません。
しかも一連の行動は、地上を歩いている時よりも早い速度で行われます。
つまり、空を飛ぶ鳥は、上空から見た景色を脳の中で、素早く処理して次の行動に結びつけています。
鳥が空を飛ぶという行為は、脳に強烈な刺激を与えます。
そのため脳は発達したのでしょう。また、クチバシで行う細かい作業も脳を発達させたと想像されます。
クチバシは、羽のつくろいや、エサをついばむ動作だけでなく、巣作りや、声を出すこと等に使われます。
特に、声まねや、さえずりをする時には、クチバシを細かく操らなければなりません。
人は、手や指を細かく動かすことで脳を発達させたと言われています。つまり脳に刺激を与えることで脳を進化させてきました。
鳥の場合は、空を飛ぶことと、クチバシを使う行為が脳の成長を促したのでしょう。
まとめ
脳の重さを体重の比率で比較すると、鳥類は霊長類や哺乳類に近い重さの脳を持っていました。
脳に負荷をかけることで脳は成長すると言われています。おそらく、鳥類の脳を発達させた要因は、空を飛ぶことやクチバシを細かく使う行為でしょう。
鳥はクチバシを駆使します。鳥の口ばしは、人から見ると扱いにくそうですが、鳥はきように扱います。そして、声まね等は、さえずりは、鳥の脳を大きく発達させたのでしょう。