ツカツクリは、暖かい砂や、火山の地熱、落ち葉が腐る時の発酵熱などを利用してヒナを孵(かえ)す、ちょっと変わった鳥です。ツカツクリという独特な名前も、さまざまな卵のふ化方法の中で、発酵熱を使う時に巨大な塚を作ることから命名されています。
自然環境を利用して卵をかえすツカツクリ
普通の鳥は、卵を産んだら親鳥が体温で卵を温めて孵化(ふか)させます。ところが、ツカツクリは、暖かい砂や、火山の地熱、又は落ち葉が腐る時の発酵熱などを利用してヒナを孵(かえ)します。
ツカツクリという名前は、巨大な、塚を作ることから命名されています。日本では馴染のない鳥ですが、ちょっと変わっているので紹介します。
ツカツクリの卵のかえし方
ツカツクリは、オーストラリア、ニューギニア、インドネシア、米国のマリアナ諸島の森などに生息しています。ツカツクリは、キジ目のニワトリぐらいの大きさの鳥です。
頑丈な足で、地上を走り回って生活する地上生(ちじょうせい)ですが、とても巨大な巣を作ることで知られています。
ツカツクリは、普通の鳥のように、卵を自分の体温では温めません。
ツカツクリは、地上に穴を掘って、火山の地熱や太陽熱を利用するなど、さまざまな方法で卵をふ化させます。
この中で、普通思いつきそうもない、落ち葉などが腐る時の発酵熱を利用した方法を紹介します。
発酵熱を利用して卵をふ化させる方法
ツカツクリは落ち葉を集めてきて、それを直径7メートル、高さ2.5メートルも堆積させて、落ち葉の上に卵を産みます。さらに卵の上に砂や落ち葉を載せて巨大な塚にします。
集めた落ち葉は、5トンにもなる量のため、やがて腐り始めると発酵熱で高温になります。ツカツクリは、この熱を使って卵をふ化させます。
親鳥は、くちばしや舌で熱を感知して、常に33℃に保つために落ち葉を取り除いたり、かけたりして調節しています。卵は8週間から10週間で、ふ化します。卵の面倒をみるのは、オス鳥です。
但し、ツカツクリが全て、このように面倒をみるわけではありません。塚を作って卵を産んだら、その後の面倒はみないで、さっさと姿を消してしまうというような種類もいます。
ツカツクリの雛
ツカツクリの雛(ひな)は、早成性(そうせいせい)です。早成性のため、塚から出てくる時には、既に羽毛が生えそろっていて自分でエサを捕ることもできます。そのため、親鳥の庇護(ひご)も受けないで、塚から出ると、そのまま去っていくものもいます。
卵から出て来た時に、羽毛などがない状態の、晩成性(ばんせいせい)の鳥は、親鳥からエサの世話も必要です。晩成性の鳥は、育児などの世話も必要です。
ところが、進化の過程で比較すると、晩成性型の鳥の方が進化した鳥と言われています。
人間の場合は、親が子供の面倒を見過ぎているように感じられますが、進化すればする程、親の世話は必要のようです。
まとめ
ツカツクリという地上生の鳥の名前は、巨大な、塚作りをすることから命名されました。ツカツクリは、卵のふ化を自分の体温ではなくて、自然環境から出る発酵熱を利用して対応するからです。ちょっと、変わった鳥です。
また、ヒナは、早成性(そうせいせい)です。そのため、塚から出てくる時には、羽毛あって、自活できます。
進化的に見ると古い態の鳥です。それにしてもツカツクリの雄は、発酵熱をどうやって知ったのでしょう。不思議ですね。