大きな瞳のフクロウは、暗い夜でも獲物を見つけられますが、眼が良いだけでは夜の狩りは難しいでしょう。フクロウは、さまざまな特殊能力を駆使して難しい夜の狩りをしています。この記事では、そんなフクロウの特殊な能力をまとめて紹介しています。
フクロウの特徴
フクロウは、夜になると活動する猛禽類です。周囲が暗くても見える眼をもっているからと言われていますが、フクロウの特殊な能力は、眼が良いことだけではないでしょう。
《どんな鳥なの?》
フクロウは、北ヨーロッパからロシア、日本にかけての帯状の温帯地域から亜寒帯地域に分布している肉食で夜行性の鳥です。
日本では、九州より北の四国、本州、北海道の森林や湿地、牧草地などで生息しています。いつも同じ地域にいて、移動しない留鳥です。
フクロウの大きさは、種類で違いますが、50㎝から70㎝強程のサイズです。何と言ってもお面のような平たい顔と、大きな瞳に特徴があります。
フクロウの大きな瞳の弱点
フクロウは大きな瞳を持っていて、暗い夜に獲物を捕まえますが、大きな瞳にも弱点があります。つまり、目が良いだけで暗い夜のハンターになることはできません。
フクロウの大きな瞳は、暗い場所でも獲物を捕まえることができる驚異的な視力を持っています。但し、眼球は頭蓋骨に固定されていて動かすことができません。
そのため、フクロウの視野は両目でも110°程しかありません。人の視野は120°程あって、眼球を動かせるので、フクロウに比べると広い範囲を見ることができます。
ちなみに、目が顔の横についている草食系の動物は、真後ろまで見ることができるそうです。
フクロウの特殊な能力
フクロウは、大きな瞳で暗い場所も見ることができますが、眼球が固定されていて視野が狭いという弱点があります。
そのため、フクロウには、狭い視野を補う能力や、暗い場所で狩りをするための特殊な能力があります。
自由に首を回せる技
フクロウは驚くほど首を回すことができます。眼球が固定されていて視野が狭いため、これを補っているのでしょう。270°まで首を回すことができます。
自然界では、後ろの敵から襲われることも多いですが、木にとまっているフクロウが、体の向きを変えるのは大変です。そのため、簡単に後方を見る手段として首を回せるように進化したのでしょう。
《何故そんなに首を回せるの?》
フクロウの首は、大きな角度で回転できるように、骨の数が人の2倍(14本)もあります。
また、無理な体制で首を深く曲げた時や、暗い夜間でも、眼や脳が働くように、必要な血流の貯蔵システムがあります。
このような血流貯蔵システムのおかげで、フクロウは、人が驚くほど首を回せるのでしょう。
驚異的な聴力
フクロウには、さまざまな能力がありますが、最も優れた所は、すばらしい聴覚だと言われています。
多くの動物の耳は顔の左右にあって、両方の耳で音を捉えます。左右の耳に届く音は、きわめて短い時間差があるため、脳の働きで音源の方向を知ることができるからです。
しかし、音源が上下方向にある時には位置精度が落ちてしまうため、暗闇で獲物を獲るフクロウにとっては不足しています。
そのため、フクロウは、左右の耳の高さを変える進化をしていました。(フクロウの耳は羽毛に隠れています。)
左右の耳の高さが違うと、垂直方向の精度も高くなって、暗闇の中でも、目で見ているように三次元情報として音源を把握できるからです。
しかも、フクロウの平べったい変な顔は、パラボラアンテナの役目をしていて集音効果もあります。
羽ばたき音をさせないで飛行する能力
フクロウは静かな夜間でも、獲物に気づかれないように狩りをすることができます。
それは、柔らかい羽と、羽のふちに独特のぎざぎざを持っているためです。フクロウは、羽の端のギザギザから空気を逃がして飛ぶことができます。
空気を上手く逃がすため、乱流がなくなって、フクロウが飛行しても風切音がしません。
まとめ
夜行性のフクロウが暗闇でも獲物を捕獲することができる理由は、フクロウが持っている特殊な能力のおかげです。
フクロウの特殊能力をまとめると次のようになります。
- 大きな瞳には、驚異的な視力があります。但し、眼は動かせないため視野は狭くなります。
- 狭い視野を補うため、深い角度で首を曲げることができるように進化しています。
- 大きく首を曲げられるのは、首の構造と、血流を増やす仕組みを持っているからです。
- フクロウの左右及び縦方向の耳の位置のずれは、音だけで、立体的な位置情報をフクロウにもたらします。
- フクロウの平べったい顔は、パラボラアンテナの役目をしていて集音効果を高めています。
- 羽ばたき音なしで飛行できるのは、柔らかい羽と羽のふちにある乱流を防ぐ構造のためです。