ハチの体形は、腰のくびれの有無で分けられます。腰にくびれがあると、何故か、刺されるかもしれないという怖さを感じます。記事では、ハチの腰のくびれが出来た理由や、くびれのせいで流動食しか食べられなくなったスズメバチの事例を紹介しています。
刺すハチは腰がくびれているの?
ハチは、腰のくびれが極端に細いというイメージがありますが、ミツバチのようなずんぐりむっくりしたハチもいます。
ミツバチのような体形のハチは、足に花粉団子を付けていて、刺されるかもしれないという緊迫感は、あまり感じません。
逆に、ウエストがくびれているハチを見ると、気を付けないと刺されるかもしれないと身構えてしまいます。
何故、ウエストが細いハチは怖く感じるのでしょうか?
ハチの腰の構造と、くびれが出来た理由は?
ハチ目を学問的に分類すると、広腰亜目(こうようあもく)と、細腰亜目(さいようあもく)に分かれています。広腰亜目は、ハバチ亜目で、細腰亜目は、ハチ亜目です。
腰がくびれている、ハチ亜目のくびれは、胸部と腹部の分かれ目ではなくて、腹部の第1筋と第2筋の間のくびれです。第1筋は胸部と融合していました。
そのため、胸部とつながってしまった腹部の第1筋は、前伸腹筋と呼びます。そして、第2筋以下は、膨腹部と胸部、前伸腹筋は、中体と呼ばれています。
まあ、こんな難しい話はどうでも良いのですが、ハチ亜目のくびれは、何故できたのでしょうか?
ハチのくびれができた理由
アシナガバチは比較的おとなしいハチですが、腰はくびれています。子供の頃は、怖いもの知らずで、アシナガバチなどの翅(はね)を素手で持つことも平気でした。
アシナガバチの翅を指でつまむと、くびれた腰を曲げて、お尻の先端にある針で指を刺そうとします。
ハチの腰のくびれは、まさにこのためにあるものでした。敵に対して、お尻の先端にある毒針を自由自在に刺せるようにするため、極端なくびれ部分で曲げていたのです。
しかし、ハチの腰のくびれは極端に細くて、食べ物を通すことができるのか心配になる程です。
流動食しか食べられないハチ
調べたところ、スズメバチは肉食の大型のハチですが、腰がくびれているため、固形物は食べることができませんでした。
スズメバチは肉食で獰猛(どうもう)なハチですが、捕らえた獲物の肉は肉団子にして巣の幼虫に与えます。すると、幼虫は、与えられた肉団子を食べてアミノ酸液を作り出し、口から出して、親バチに与えていました。
まとめ
ハチの腰のくびれは、お尻の毒針で敵を刺せるように、腰を自由に曲げるためでした。つまり、腰にくびれがあるハチは、刺す危険があるということです。
それにしても、刺すハチは、腰のくびれを獲得するために、流動食しか食べることができないとは驚きです。
しかも、スズメバチは、流動食を幼虫から口移しでもらっていました。これ程、親バチと幼虫の依存度が高い生き物とは知りませんでした。
このような理由で、スズメバチは、幼虫がいなくなったら栄養が摂れなくなって、生きていけません。
人がスズメバチの巣の近くに行くと襲われるという理由も判ったような気がします。スズメバチも幼虫を守るのに必死だったのでしょう。何しろ、幼虫がいなくなったら自分たちも食べることができないのですから。