ウスバキトンボという名前には馴染のない人も多いでしょうが、日本中どころか世界中に広く分布しているトンボです。日本で見られるウスバキトンボは、東南アジアなどから海を越えてやってきます。この記事では、そんなウスバキトンボについて紹介しています。
海を越えてやって来るウスバキトンボ
あまり聞きなれないウスバキトンボは、日本では、弱々しい精霊トンボ(ショウリョウトンボや、盆トンボ等)と呼ばれています。
これらの名前でも分からない方でも、アカトンボなら知っていて、日本の固有種のトンボと勘違いしている人も多いでしょう。
ところが、ウスバキトンボは、世界中の熱帯地域や温帯地域に分布しているトンボです。
ウスバキトンボは世界中に広く分布していて、日本には東南アジアや中国などから飛んでくると言われています。暖かい地域から北上するため、日本には初秋の頃に多く見られます。
ひ弱そうなトンボのハネです。こんな翅で東南アジアや中国などから、日本まで飛んで来るとは驚きです。
そんな、ウスバキトンボについて調べてみました。
ウスバキトンボの特徴と生態
ウスバキトンボは、5㎝程の大きさのトンボです。やや広めの透明のハネも4㎝ぐらいの普通サイズのトンボです。
体色は、オレンジ色のため、日本アカトンボと呼ばれることもあります。
生態
ウスバキトンボのメスは、1日に840個も産卵します。水辺に産んだ卵は、数日間で孵化(ふか)して直ぐに脱皮します。幼虫になると、蚊の幼虫等を食べて成長します。夏の時期なら1ヶ月半ほどで成虫になります。
また、水たまりのような場所でも繁殖することが可能です。
海を越えて日本にやってきたウスバキトンボは、短期間で北上して日本全国に分布を広げます。
ところが、寒さに弱いことから、元気に活動していた幼虫も気温低下と共に成長がにぶって、冬には死に絶えてしまいます。
ウスバキトンボが長距離飛行する仕組み
ウスバキトンボの体は、オニヤンマのように筋肉質ではありません。飛行方法は、体を軽量化してグライダーのように滑空飛行します。
滑空を多用すれば長距離飛行も可能なのでしょう。
ただし、エネルギーを節約する滑空飛行を効率的にするには体を軽くしなければなりません。
ウスバキトンボは、体の強度を犠牲にして軽量化しています。そのため、普通のトンボに触れる時よりも優しく持たないと、つぶれてしまう程、華奢(きゃしゃ)な体です。
まとめ
ウスバキトンボは、寒さに弱くて冬を超えることが出来ませんが、強力な飛翔力で海を、越えて飛来します。
また、多くの卵を産むことが可能です。しかも卵から成虫になるまでの期間が短いため、世界中に分布しています。
ウスバキトンボの最も北の地域での目撃情報は、カムチャツカです。確かに、カムチャツカで生息できるのなら世界中に分布していると言えるでしょう。
ウスバキトンボの弱点は、寒さに弱いことですが、地球温暖化に伴って増々分布を広げて行くかもしれません。それどころか日本の冬をのり越えてしまうかもしれません。ちょっと期待しています。
ウスバキトンボは、地球上で最も適応性の高いトンボと言えるかもしれません。