福寿草は、正月に黄色の花を咲かせます。業者が意図的に時期をずらしているためです。但し、本来の開花時期も真冬です。しかも、福寿草の花には蜜はありません。何故、福寿草の花には蜜がないのでしょう。この記事では、理由を分かりやすく紹介しています。
蜜のない福寿草が昆虫を呼び寄せられる理由
福寿草(ふくじゅそう)の黄色の花には、蜜がありません。それにも関わらず、アブは福寿草の花に寄ってきます。
専門書で確認した結果、蜜の無い福寿草の花にアブが潜り込む理由は、福寿草の花が暖かいからでした。
福寿草の花はおわん型のため、中央部に太陽光線を集めて、外気温よりも10℃も高くなっているそうです。
最も寒い時期に開花する福寿草
福寿草は、真冬の2月頃から初春にかけて雪の中から顔を出して咲きます。福寿草が咲けば、厳しい冬はピークです。もう少しで春が来ます。
福寿草は何故、こんな寒い時期を選んで開花させるのでしょうか?
福寿草が真冬に花を咲かせる理由
植物が花を咲かせるのは、受粉をしてくれる昆虫等を呼び寄せるためと言われています。
ところが、気候が暖かくなって、春を迎えると昆虫も増えますが、花を咲かせるライバルの植物も増えて、競争は激しくなります。
恐らく福寿草は、ライバルの少ない寒い時期に花を咲かせることで、ポリネータとして働いてくれる昆虫の奪い合いを避けているのでしょう。
但し、福寿草が真冬を選んで開花する理由は、それだけではなくて、昆虫をおびき寄せる蜜を作らないためかもしれません。
福寿草のしたたかな戦略
寒い季節なら、甘い蜜がなくても、昆虫は、暖かい福寿草の花の中に潜り込んで体を温めます。福寿草はそんな風に考えて、寒い時期に花を咲かせているのかもしれません。
福寿草の花の中に潜り込んだ昆虫の体は、花粉だらけになります。
福寿草の花に潜って、体を温めたアブは、花粉をつけた体で、別の福寿草の花に飛んでいって、受粉してくれます。
福寿草は、なぜ、蜜を作らないの?
植物が甘い蜜を準備するには、人間が考えている以上に、貴重なエネルギーを必要とします。そのため、本音では、昆虫をおびき寄せるための蜜は作りたくないはずです。
つまり、福寿草は、寒い季節に花をさかせて、花内温度を上げることに成功しました。
花の中が暖かければ、蜜が無くても昆虫はきてくれます。
このため、蜜がなくても、花粉を運んでくれるポリネータ(昆虫)を花の中に潜り込ませることができたのです。
花の内側の温度を上げるのも、太陽エネルギーを活用しています。
まとめ
多くの人は、真冬に黄色の花を咲かせてくれる福寿草について、もう少し待てば暖かい春がやってくるのに、何故こんな寒い時期に花を開花させているのだろうと思います。
福寿草は、開花時期を寒い時期にすることで、受粉をしてくれる昆虫の奪い合いを避けられると考えたのでしょう。
但し、それだけではなく、真冬に花を咲かせることで、エネルギーを消費する蜜を作らなくても、昆虫をおびき寄せられると考えたのかもしれません。
進化論では、たまたま環境に適合したものが生きのびたと言われています。でも、福寿草の行為は生きるための戦略として意図的に行っているようにも見えます。