白鳥や野鳥、昆虫、草花など屋外での自然観察をする時に必要な服装・靴、そして機材(双眼鏡・カメラ・三脚)などの最低限必要な機能や使用方法をまとめたコーナーです。初心者の方に参考になることを願っています。
服装の基本
野外で鳥などを観察する時の服装は、安全確保が最も重視されるポイントです。
そのため、暑い夏と寒い冬では服装の素材は違いますが、基本的には帽子、長袖、長ズボンになります。そして、雨などに備えてウィンドブレーカは持っていくと安心です。
帽子、長袖、長ズボンは夏場・冬場ともに日差しや虫などから防護いてくれます。肌は極力露出しないようにした方が無難です。(もちろん、白鳥観察の場合は厳冬を想定した服装で風をひかないようにして下さい)
尚、紫外線カット、発汗、風通し、防水、防寒等に配慮した高機能繊維のものが豊富にある、アウトドア専門のブランド品はお勧めですが、自然環境への配慮から最近では派手な色は好まれませんので注意して下さい。
靴は、軽登山靴がお勧めです。例え、湖沼などに行っても、観察やカメラ撮影で水の中に入ることはありません。(水に入るのは危険が伴いますのでNGです)
そのため、足元の不安定な長靴よりも、でこぼこした所でも安心できる軽登山靴はお勧めです。(但し、雪が残っている場合は長靴の方が良い場合もあります)。
装備類
野外活動の装備は、考え始めるときりがないほどありますが、野鳥等を観察することが目的のため、あまり重装備にして重くならないような配慮も必要です。
雨具、水筒は必需品です。それに季節に応じた暑さ・寒さ対策も必須です。(軍手やタオル、新聞紙)
観察時に役立つハンディタイプの図鑑や観察記録類もあると便利です。
そして、これらを入れておくバックパックも必須です。
双眼鏡
双眼鏡は、最も親しみのある身近に感じられる機材だと思います。双眼鏡には、例えば「8×30」のような表示があります。これは「倍率×口径」を意味しています。
8×30は、倍率8倍で、対物レンズの口径30mmのことです。この意味は、例えば80m先にいる鳥を見ている時、計算上では、80(m)/8(倍)=10mになります。このため、倍率8倍の双眼鏡では、10mの距離感で鳥を観ることができます。
口径の意味は、光を取り込む有効径のことです。この数字が大きい程、視野は明るくなって細部まで見ることができます。
尚、野鳥等の観察の場合は、軽くて操作しやすいものが好まれます。目安は「8×30」〜「10×40」くらいがよいと思います。
望遠鏡(スコープ)
野外観察で鳥などを観る時には、双眼鏡の場合は手ぶれ等のため、倍率は8〜10倍が限度と言われています。しかし、広い湖や干潟などでは遠方の鳥を観たくなります。
そんな時に使いたくなるのが望遠鏡(スコープ)です。三脚で固定すれば、20倍以上の倍率で遠くの鳥もしっかり観ることができます。
望遠鏡は、対物レンズの口径サイズによって「小口径(50〜60mm)」と「大口径(80mm)」に分かれ、覗き方の違いで「直視型」と「傾斜型」に分けられます。また、レンズへのコーティングの有無などによって標準機クラスと、高級機クラスに分かれています。
尚、望遠鏡は接眼レンズを交換できます。「20〜30倍の単焦点レンズや、20〜60倍のズームレンズ」
但し、ズームレンズに比べると単焦点レンズの方が明るくて見やすいという特徴があります。又、見やすさばかりに固執して大口径機種を選ぶと、現地に行ってから重くて大変です。
持ち歩いて使うなら、小口径の直視型で単焦点の接眼レンズが良いと思います。
尚、スコープを使って、小さな目標物を探すのは大変です。慣れていないと本当に難しいです。しかし、慣れ親しむうちに、コツを覚えます。実際にバードウォッチングに出かける前に、静止物で練習しておくことをお勧めします。
デジスコ
観察するのと同時にカメラ撮影ができるのが、「デジスコ」です。これは、スコープとデジカメを、アダプターで繋げたものです。また、デジスコを使う場合は、手ぶれがあっては良い写真が撮れませんので、三脚に固定して使用します。
そのため、カメラに直接触らないでシャッターをおすことができるケーブル(レリーズ)と、それをデジカメに固定するレリーズステイは必要です。
この、アダプターとレリーズステイは、汎用のものも販売されていますが、かなり高価です。そのため、自作品で対応している人も大勢います。(もちろん、デジスコのセットも販売されています)
尚、遠くの鳥を高精細に撮影できるメリットはありますが、飛び立つ瞬間などのシーンを撮影するには向いていません。(起動力の点では、一眼レフにはかないません)
但し、焦点距離は1300mm〜2000mmと超望遠撮影ができるため、野鳥をすぐ目の前で撮影しているのと同じ写真をとることができます。
三脚
初心者が倍率の高い望遠鏡や望遠レンズのついたカメラを使う時には、手ぶれ防止のため、三脚は持っていった方が良いと思います。
「三脚」を選ぶときの目安には次のようなものがあります。
(1)高さ
脚部と雲台(機材と三脚の脚をつなぐパーツ)を伸ばした時、身長から20〜25㎝程度低ければ問題ないと思います。
(2)耐荷重
機材の重量に応じて決める必要があります。通常のものであれば、2〜3kgの耐荷重性で良いと思います。
(3)雲台の種類
雲台は、望遠鏡やカメラなどの機材の向きを変える部材にもなります。可動範囲や操作方法によっていろいろなタイプのものがあります。購入するお店の人に使用機材などとの相性も含めて相談すると良いと思います。
(4)三脚を使う場合
バードウォッチングなどで、三脚を持っていく時は、スコープを取り付けたまま、肩に担いでいくことが多いと思います。そのため、周囲に人がいる時には、ぶつからないように注意しましょう。