雨粒が蚊に当たった時の衝撃値と、強靭な昆虫の体

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雨粒

小さな蚊に大粒の雨が当たる時の衝撃は、人の想像を超えているでしょう。但し、小さな昆虫の体は頑丈でしなやかです。記事では、水滴実験で弾き飛ばされた後の蚊の状態と、衝撃値の大きさ、および一般的な昆虫の体の特徴等を紹介しています。

雨粒が蚊に当たった時の衝撃値

最近は、温暖化が進んだせいか、昔よりも大粒の雨が降るようになりました。ニュース番組でも家屋が濁流に流される映像が頻繁に報道される程です。

小さな昆虫にとっては、濁流どころか、大きな雨粒でも脅威でしょう。

例えば、蚊が雨粒にあたった時のことを想像して下さい。

蚊の体重は、およそ3mgで、雨粒は直径2mm程度です。

直径2mmの雨粒の重さは、4mgで、落下速度は、4m/秒ぐらいです。この雨粒(1粒)が、蚊にあたる時の衝撃は、3.2g重です。これは、雨粒が衝突した時に、3mg(0.003g)の体重の蚊は、3.2gの重さを感じたことになります。もちろん衝撃を受ける時間は(0.5ミリ秒)と一瞬です。でも、体重の3200倍も重いものがぶつかるのです。当然、蚊は、弾き飛ばされます。

アメリカの研究者が、蚊に雨粒相当の水滴を当てる実験をした結果があります。次に紹介します。

衝撃に強い蚊の体

落下する雨粒が、蚊を直撃する実験を高速度カメラで撮影した映像です。この映像では、蚊に水滴が当たる瞬間に、蚊は弾き飛ばされて、雨粒といっしょに落下しています。ところが、蚊は直ぐに元通りになって、どこかに飛んでいきました。

凡そ、想像した通りですが、よく考えてみると、ものすごい復元力です。これが人間だったら、どうなっていたかなんて想像したくもありません。

では、何故、昆虫はこれほど強靭(きょうじん)なのでしょうか?

昆虫の体の特徴

一般的な昆虫を思い浮かべると次のような特徴があります。

  • 蚊の体は表面が油分で覆われていて水をはじきます。蝶や蛾は、全身を鱗粉(剛毛が変化したもの)で覆って防水しています。このように昆虫の体は、様々な方法で防水構造になっています。
  • 小さな昆虫の体は軽量です。しかも硬い外骨格で覆われていいて、強い衝撃を受けて飛ばされ、何かにぶつかっても軽度な損傷で済みます。軽いため、衝撃エネルギーが小さいからです。
  • 硬い外骨格で覆われている昆虫の体ですが、軽量のため、空中を飛ぶこともできるので、緊急時には脱出も可能です。

昆虫は、このように人間には真似のできないスゴイ体を持っています。

そのため、蚊は、雨粒に当たって弾き飛ばされても、それほど大きなダメージを受けないで生き延びることができるのでしょう。

でも、小さな昆虫は、雨の日には出歩きません。

小さな昆虫の雨の日の過ごし方

雨の衝撃にも耐えられる昆虫ですが、雨の日には、ほとんど見かけなくなります。それは、次のような理由です。

  • 変温動物の昆虫は、気温低下の影響を受けやすく、雨が降ると体温が低下して、エネルギー消費が激しくなります。
  • 雨は、虫類の匂いや気配も消してしまうため、昆虫も獲物を捕らえにくくなります。
  • 小さな昆虫は衝撃に耐えられても、軽い昆虫は、意に反して雨に弾かれて飛ばされるため、エネルギーを激しく消耗してしまいます。

以上のような理由から、頑強な体を持っている昆虫も、雨の日には、木陰や木の葉の裏などでじっと過ごしていると考えられます。

まとめ

蚊に大粒の雨が当たった時の衝撃は、体重の3200倍のものがぶつかるのと同じです。雨粒相当の水滴で実験した映像では、あたった瞬間に弾き飛ばされますが、直ぐに元通りになって、どこかに飛んでいきました。

驚くべき復元力ですが、小さな昆虫の体は頑丈で、しなやかに作られています。

但し、衝撃に強い昆虫も、雨が降る日には、木陰や、枯れ葉の裏側に潜んでいます。それは、次のような理由からと考えられます。

  • 体が軽いため、意に反して雨粒に飛ばされてしまう。
  • 変温動物のため、気温の変化で必要以上にエネルギーを消耗してしまう。
  • 雨は、昆虫の獲物の匂いや気配も消してしまう。

このようなマイナス要因ばかりのため、昆虫は雨の日に、出歩くことを避けているのでしょう。

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