ちょっと変わった、クサアリの生態

クサアリというアリは、じめじめした雑木林などには、普通にいるアリです。ところが、ちょっと変わっていて、菌類を栽培しています。サムライアリとハキリアリの生態とも一部似ています。記事では、そんな、クサアリの独自の生態について紹介しています。

雑木林で頻繁に見かけたアリ

子供の頃は、頻繁に雑木林にカブトムシやカナブンを取りに出かけましたが、この時必ず見かけたアリがいます。それは大きくて、真っ黒で光沢のあるアリです。最近、アリのことを調べて知ったのですが、これは、クサアリの仲間でした。

クサアリは国内に5種程いますが、いずれも同じ外見のため区別が難しいようです。また、クサアリの仲間は、いずれも乾燥していないようなところを好むため、大抵は雑木林の大木の根本で生息しています。

そんなクサアリですが、他のアリとは大きく違う生態をしていました。次にクサアリについて紹介します。

クサアリの強固な巣

クサアリは、大きなクヌギの木やケヤキの木の根元に巣を作ります。大木の根本には、クサアリが開けた大きな穴がありますが、その穴は地中よりも、木の内部に食い込むように作られています。

クサアリの巣は、他のアリの巣と違って、まるでセメントで作られたように固く、頑丈です。
では、どのようにして巣を強固にしているのでしょうか?

菌類を育てて巣を頑丈にするクサアリ

クサアリは、ハキリアリと同様に菌類を栽培しています。但し、ハキリアリと違って、菌類を食用にはしていません。

クサアリは、木屑や土砂などを固めて巣の外壁を作ります。クサアリは、栽培する菌類を、外壁に付けます。この菌を外壁に付けると、菌の働きで、外壁の強度は増強します。

甘露を菌類のエサにして巣を頑丈にするクサアリ

クサアリは他のアリと同様に、アブラムシやカイガラムシなどが排泄する甘露が大好きです。クサアリも、甘露を食べますが、巣に持ち帰って巣の外壁に塗って菌類のエサにもしています。

そうすることで外壁に棲む菌類は、クサアリの外壁をより固くするように作用して、巣はますます強固なものになります。

サムライアリのように巣を乗っ取るクサアリ

クサアリの巣は、頑丈で、巣の寿命は10数年もあるようですが、実はクサアリの女王は自力で巣を立上げることができません。

そのため、サムライアリのように女王が他のアリの巣に忍び込んで女王を殺して巣を乗っ取ります。

但し、サムライアリと同様に、巣の乗っ取りは簡単ではなく、逆に返り討ちにあうことも珍しくありません。(自然界は、どんな暮らしをしても厳しいですね!)

巣の乗っ取りに成功すると、新しく生まれるのはクサアリだけになります。すると、クサアリの比率が高まって、クサアリだけの巣になります。

自分の巣に侵入されたアリは寿命で亡くなるまで、クサアリと一緒に生活しています。しかし、クサアリは、同居する元いたアリを奴隷にして自分たちの世話をさせるようなことはしません。

まとめ

クサアリは、サムライアリや、キノコを栽培するハキリアリに、一部の生態が似ていますが、ちょっと違います。私は、何となく、クサアリが好きになりました。最近では、クヌギ林に入ることは殆どありませんが、もし行くことがあったらクサアリを見てみたいと思います。

また、もしもクサアリが放棄した巣があったらさわって、硬さに触れてみたいと思います。

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