春から初夏の頃には、元気の良いツバメが飛び回っていて、どこの軒先でもツバメの巣がありました。農家の軒先に行くと、木の板で、ツバメの巣の土台も作られていました。ツバメは誰からも愛されていたのでしょう。でも、本当の理由は何故なのでしょうか。
ツバメが人に可愛がられる理由
昔は、小学校の校舎の入口にはツバメの巣があるのは普通でした。先生の教えや絵本に登場するツバメも、概ね良い仲間というような感覚でした。
また、一般家庭でも、ツバメが繁殖する家は栄えるとか、ツバメがいると商売が繁盛するなどと言われていたようです。
こうして考えてみると日本人は子供の頃から、ツバメは良い鳥なので大切にしなさいと洗脳されるような環境だったと思います。
もちろん、上記のように扱われるのは、ツバメは、次のように益鳥だったからです。
- 人間にとって害虫の蚊等の小さな飛翔昆虫を食べてくれる。
- ツバメは、スズメやカラス等のように、作物等は食べない。
日本人は稲作をする農耕民族だったため、害虫を食べてくれるツバメは、人の役に立つ益鳥でした。
ツバメは、益鳥だったから人間から大切にされ可愛がられていたのでしょう。でもこれだけでは、何か物足りなさを感じます。ツバメは、別の観点で人々を惹きつけていました。
ツバメが人々を惹きつけるもう一つの理由
ツバメと、同様に、人々の生活圏で暮らす、ハトと比較することで、ツバメが人々を惹きつける理由を考えてみました。
ハトは、ツバメの様に民家の軒先に巣を作りませんが、人の多い駅で寝泊まりしています。しかし、ハトはツバメほどには人々から慕われてはいません。
その理由を考えてみると、次のような点が思い浮かびます。
ハトをうっとうしく感じる点
- ハトはツバメに比べると大きくて、鳴き声も太くて可愛くない。
- ハトは、群れるので糞も気になる。
- ハトは、駅の通路を歩き回って、餌をねだる。(ツバメは駅の通路を歩き回ることや、餌をねだることはしません)
- ハトが飛ぶと、バサバサと埃をまき散らす飛び方をする。
ツバメをスマートと感じる点
- ツバメは、スイスイと飛び方もスマートで、羨ましいとさえ感じてしまう。
- ツバメは、民家の軒先で、家族単位で巣作りと子育てをするので、人々の親近感を増大させる。
- 夏が終わると暖かい場所に行ってしまうが、新しい春を迎えると戻ってきてくれる。
以上のように、ツバメは、家族単位で行動して、ハトの様に大きな群で行動はしません。そのため、人から、厚かましいなどという印象を持たれないで生活しています。そんなツバメを人は可愛く感じてしまうのでしょう。
まとめ
ツバメは、人間にとって益鳥です。このことが大前提ですが、ツバメを可愛く感じてしまう理由は、ハトと比べると分かります。
ツバメは、人間との距離感を適度な節度で保っているためでしょう。
つまり
- 群れを作って迷惑をかけない
- 餌をねだらない
- 群で塒(ねぐら)を作らない
- 巣作りと子育ての数カ月の短い期間のみ軒先を利用する
等々、人々がツバメを愛おしく感じてしまう要因ではないかと思います。
尚、最近、あまりツバメを見かけなくなりました。ちょっと気になっています。