河川敷に巣を作るコチドリの仲間

コチドリ
コチドリ

コチドリは、木の上ではなくて、河川敷などの地面に巣を作って子育てをします。記事では、コチドリが木の上に巣を作らない理由や、捕食者から卵を守る方法を、コチドリの仲間の特徴も含めて紹介しています。コチドリの仲間は、シロチドリやイカルチドリです。

石ころの横に作るコチドリの巣

コチドリの仲間の巣は、河川敷の石ころの間などに作ります。

巣というよりも、少しだけくぼみがあるような所に、無造作に卵が置かれているというように見えます。とても、鳥の巣とは思えません。

少し小さなウズラの卵のように見えるものは、恐らく、コチドリの卵でしょう。コチドリの卵は、河川敷の少し窪んだ場所に作られています。でも、何故こんな所に巣をつくるのでしょうか?

コチドリが河川敷に巣を作る理由

普通の鳥は、木の上におわん型の巣を作ります。木の上の方が、葉などに隠れて、捕食者に狙われにくいと考えているからです。

コチドリは、河川敷などの広い場所に、無造作に卵を産みます。

ただし、卵の模様は河川敷に溶け込んで、少し目をそらすだけで、卵の位置を見失ってしまう程です。

また、河川敷で卵を抱いているコチドリの親の姿も、次のように簡単に見つけられないようにカモフラージュされています。

  1. コチドリは、くすんだ背中の色で周りの土や石に溶け込んでいる。
  2. コチドリは、輪郭のような頭と胸の黒のラインが鳥の姿を分割して見せている。

以上のような効果のため、簡単に見つけられません。

さらに、巣の近くに捕食者が来てしまった時には、次のような最終手段があります。

コチドリの卵を守る芸

親鳥は、怪我をしたように振る舞って、捕食者の注意を惹きつけます。巣の場所から遠ざける捨て身の戦法です。

コチドリは、このような手法で卵を守っているため、遮蔽物の無い河川敷で卵を産むことができるのでしょう。しかし、木の上に巣を作る方が安全のように感じます。

何故、そうまでして、コチドリは河川敷に巣を作るのでしょうか?

コチドリは木の枝に止まれなかった

木にとまる鳥の足は、前向きの3本の指と後ろ向きの指1本で、枝をしっかり握るようにします。ところが、コチドリの足は、3本しかありません。後ろ向きの足は退化してしまったのです。

コチドリが暮らしている河口や河川敷には、木が少ないために、木にとまらなくなったコチドリの4本目の足は退化したのでしょう。

このように、コチドリが河川敷に産卵する理由は、足が退化して木にとまれなくなったという事情からなのでしょう。

きっと、コチドリは、木の枝に止まるよりも、河川敷を歩き回る方が好きなのです。

コチドリとコチドリの仲間

コチドリの仲間には、シロチドリ、イカルチドリなどがいます。彼らは、同じように地面に巣を作ります。次にこれらの鳥の特徴を整理します。

コチドリ

コチドリは、全長16㎝程の大きさの鳥で、日本中の河川の中流域から河口付近の河川敷、埋立地、造成地などで繁殖します。頭と背中は褐色系の薄茶色で、腹部は白色です。
抱卵を主にするのはメス親ですが、食事の時には、オス親が代わって卵を温めます。

シロチドリ

シロチドリは、コチドリよりもやや大きめで、頭部と背中は灰褐色の鳥です。砂浜や干潟、湖や池、各地の河口付近などの背の低い草がまばらに生えているような場所を好みます。
営巣は、コチドリのような炎天下を避けて、草の陰などにウズラと同じサイズの卵を産みます。

イカルチドリ

イカルチドリは、コチドリと同じような体色です。但し、コチドリよりも2周り程、大きな鳥です。日本中の河川中流部の砂利のある場所で繁殖します。稀に、建物の屋上に巣を作ることもあります。
ちなみに、イカルチドリの卵は、長径35mm、短径28mm程もあるビッグサイズです。

まとめ

コチドリ、シロチドリ、イカルチドリには、ある程度棲み分けがされています。
川の下流域には、シロチドリとコチドリ、中流域には、コチドリとイカルチドリ、上流域には、イカルチドリが生息しています。

コチドリの仲間の鳥は、地面に巣を作って雛を育てます。捕食者から雛を守って育て上げるのは大変な苦労でしょうね。

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