コブハクチョウの若鳥の色は灰色種だけではなかった

コブハクチョウの親子 白鳥
コブハクチョウの親子

オオハクチョウなどの若鳥の色は灰色ですが、コブハクチョウのヒナは、灰色と白色の羽色の2通りの個体がいます。細かく見ると、足の色も2種類ありました。この理由は、DNA配列の個体差で決定される遺伝的多型で説明できることが分かっています。

コブハクチョウに白色の若鳥がいる理由

ハクチョウの若鳥は、灰色をしていると思っていました。日本の河川敷に来るコハクチョウの若鳥は、真っ白な親鳥と違って、灰色をしているからです。

ところが、ヨーロッパなどにいるコブハクチョウの若鳥は、生まれた時から灰色の場合と白色の場合の2通りでした。

コブハクチョウの若鳥が灰色と白色の個体なのは、学問的には、DNA配列の個体差で決定される遺伝的多型が理由でした。

《遺伝的多型とは》
これは、同一の生物種の集団のなかに、遺伝子型の異なるものが存在することです。つまり、コブハクチョウの若鳥が灰色と白色の個体がいるのは、異なった遺伝子の個体がいることになります。(つまり、これ以上のことは分かっていないのでしょう。)

ヨーロッパ西部のヒナは、灰色型が多く、東部では白色が多いと言われています。

実は、コブハクチョウには、オオハクチョウやコハクチョウにはない、様々な特徴があります。足の色は、灰色のような暗い色をしたものと、薄いピンク色のような明るい色をした2つの種類います。

コブハクチョウとはどんな白鳥なの?

コブハクチョウは、主にヨーロッパから中央アジアに生息している白鳥です。コブハクチョウは日本の各地の沼や池などでもみることができますが、外来種です。日本のコブハクチョウは、おそらく、ヨーロッパなどから、人が運びこんだのでしょう。

コブハクチョウの体長は140㎝程で、オオハクチョウと似ています。体重はとても重くて、平均体重で12kgもあります。

体重が12kgもあると3,000km〜4,000kmもの長距離飛行はできないと考えられているからです。

ちなみにオオハクチョウの体重は、8kg〜12kg程です。これに対して、確認された最も重いコブハクチョウの体重は、22.5kgもあったそうです。

コブハクチョウは、北アメリカの東部や南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド等にも、移入されています。これらは、何れも人が介在して移入したものです。

コブハクチョウのくちばし

クチバシの色はオレンジ色で、付け根部に黒い突起があります。黒い突起は、コブのように見えます。ただし、コブがあるのは成鳥だけで、若鳥にはありません。

コブハクチョウの鳴き声

オオハクチョウなどは元気よく、コオー、コオーと鳴きます。これに対して、コブハクチョウは、小さな鳴き声で、シュー、ブーなどとおとなしい声を出すだけです。そのため、英語では、Mute Swan(無言の白鳥)と呼ばれるほどです。

コブハクチョウの足の色

若鳥の羽色(灰色と白色)は、成長すると、どちらも白色になりますが、足の色はヒナの時と変わりません。

羽色が灰色をしたヒナの足は暗い色で、羽色が白色のヒナは、明るい色の足です。足の色は成長しても同じ色のため、大人になってもヒナの時代の羽色を特定することができます。

このような、羽色と足の色の決定が両親の遺伝的な要素で決まることは、古典的な遺伝学的研究でも矛盾はないと紹介されています。

どうやら、両親の組み合わせによって、生まれてくるヒナのタイプを特定することはできないようです。きっと、確率的な要因も関係しているのでしょう。

まとめ

コブハクチョウの若鳥の羽色は、灰色だけでなく、白色のものもいます。足の色も2種類です。学問的な面からの理由は、DNA配列の個体差で決定される遺伝的多型で説明できることが判っています。

若鳥の羽色が灰色の個体は、足の色も灰色系の暗い色で、羽色が白色の個体は、足の色も明るい色です。

若鳥の羽色は成鳥すると白くなりますが、足の色は変わらないため、成長した個体も、若鳥時代の羽色は特定できます。

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