6ヶ月以上も飛び続けるツバメの記録はどのように取得したの?

防犯カメラ
防犯カメラ

シロハラアマツバメは、200日間以上も飛び続けることが分かりました。さらに、ヨーロッパアマツバメは、10ヶ月も飛び続けることが実証されています。これ程、長期間に亘るデータの信頼性は、本当にあるのでしょうか? ツバメの体形とともに、紹介します。

ツバメの飛行記録データの取得方法

シロハラアマツバメの記録は、スイスの鳥学会の研究者3名と、応用科学・情報工学の学者1名によるデータ解析で行われました。

データ取得は、シロハラアマツバメにGPSデータロガーという装置を装着して、得たものです。

GPSデータロガー装置

GPSデータロガーは、鳥がいる場所だけでなく、羽ばたいている、滑空しているなどの生態活動レベルも測定できます。

GPSデータロガーは、地球を周回している様々な人工衛星から電波を受信して、鳥の位置を測定するため、高精度です。ところが、発信機がないため、データ取集には手間がかかります。鳥を回収した後に研究者が解析しなければなりません。

この記録は、2013年に有名な科学誌に掲載されたものです。データは、ヨーロッパ(スイス)とアフリカ西部(越冬地)を行き来する、シロハラアマツバメ(3羽)から得られています。

シロハラアマツバメとはどんな鳥なの?

シロハラアマツバメは、アマツバメ科、アマツバメ属の鳥で、10亜種に分かれています。体長は、20〜23㎝の小さな鳥ですが、飛ぶためだけに作られたような体をしています。

シロハラアマツバメの繁殖地は、ヨーロッパの南部地域や、アフリカから中東地域、インドの西部地域などです。でも、ヨーロッパや中東にいる個体は、冬季になると越冬のためアフリカ中部から南部地域に渡ります。

写真を見ただけですが、鎌の刃のような長い翼を広げて、白い腹部を見せる姿は、まさに飛ぶためだけに特化した体形です。

風切羽の割合を増やした腕の構造

鳥の風切羽は、人の腕の部分に付いています。人の腕は、肘(ひじ)から肩の上腕骨に多くの筋肉が付いていますが、鳥の風切羽は、肘から手先の部分にあります。

飛ぶために特化したシロハラアマツバメは、上腕骨を短くして、飛行に必要な風切羽(かざきりばね)の割合を大きくしています。

地上活動には不向きな体形

シロハラアマツバメの脚は短く、折りたたんだ羽も長いため、地上では羽を引きずるようにして歩きます。

アマツバメの仲間は、地面や木の枝に降り立つには不自由な体形ですが、脚指の形は断崖にしがみつきやすくなっています。断崖で垂直に止まるのなら、長い羽も邪魔になりませんね。

シロハラアマツバメは、飛ぶためだけの体形ですから200日間も飛んでいられるのでしょう。でも、200日間も一度も陸上や水面などに降りないで、飛び続けるとは驚きです。

シロハラアマツバメは、食事や睡眠も空中で済ませ、疲労も飛びながら解消しているのでしょう。

まとめ

シロハラアマツバメが、半年以上も飛び続けているとは信じられないようなデータですが、海の生物の中にも泳ぎ続ける種がいます。シロイルカです。眠る時には片目を閉じて半球睡眠をすると言われています。

海の中は浮力も大きいので納得しやすいですが、半年以上も空中を飛び続ける鳥がいるとは、本当に不思議です。

ところが、シロハラアマツバメの研究結果が報告されると、10ヶ月間も飛び続けたヨーロッパアマツバメの結果が報告されました。

ヨーロッパアマツバメは、子育ての巣材を集めるのも空中で行うことが、実証されています。空中で生活することの多い、シロハラアマツバメやヨーロッパアマツバメの生態をもっと知りたいですね。

これからも進化すると考えられる、GPSデータロガー装置への期待は膨らみます。

タイトルとURLをコピーしました