白鳥の渡りルートに想いをめぐらせるひと時の楽しみ

白鳥 白鳥
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近年、温暖化の影響なのか、白鳥の飛来は少なくなったように感じられます。ここで紹介するのは、日本に飛来したオオハクチョウとコハクチョウが、どんなルートで帰っていくのかを調査したデータです。少し、古いデータですが、想いをめぐらせて楽しめます。

日本から帰る渡りルート調査

日本に飛来する白鳥は、オオハクチョウとコハクチョウの2種です。この2種類の白鳥について、日本で越冬した後、北に帰る渡りのルートを調べた調査結果があります。データを見て気づいたのは、オオハクチョウが主に飛来するのは、宮城県側(太平洋側)です。

そして、コハクチョウは、主に日本海側に多く飛来しています。

宮城県の伊豆沼(25羽)から北に帰るルート

宮城県の伊豆沼で越冬した後、2月下旬から3月中旬にかけて、オオハクチョウは、北に向かって飛び立っています。彼らは、本州を北上した後、多くは北海道の東部に移動しています。これとは別に数羽は、北海道の西部から北部に移動しています。

その後は、サハリンを経由してサハリン北部や、その付近のアムール川河口付近に北上します。オホーツク沿岸や、マガダン等に向かうルートに別れると、ロシアの大河のコリマ川やインディギルカ川等の中流域に到達します。

このルートを調査した、25羽の目的地は、かなり広範囲に分散しています。

飛び立ってから目的地到達までの日数(距離)は、平均で86日間(3800km)を要しています。

尚、1羽のみ、北海道からサハリンではなく、カムチャツカ西岸に向かった個体のデータも記録されていました。

屈斜路湖(くっしゃろこ)のオオハクチョウ

屈斜路湖で越冬したオオハクチョウは、4月中旬から5月上旬にかけて飛び立っています。ルートは、伊豆沼から北海道の東部に飛来したものと同様の経路をたどっています。

飛び立ってから目的地到達までの日数(距離)は、平均で37日間(3100km)を要しています。

コハクチョウの春の渡りデータ

コハクチョウの調査は、北海道の北端にあるクッチャロ湖を起点に行われています。クッチャロ湖は、日本の各地に飛来したコハクチョウの多くが、最後の中継地として立ち寄る湖です。

屈斜路湖(くっしゃろこ)とクッチャロ湖

よく勘違いされますが、屈斜路湖(くっしゃろこ)とクッチャロ湖は、全く別の湖です。

屈斜路湖

屈斜路湖(くっしゃろこ)は、北海道の東部に位置した日本で最大のカルデラ湖です。湖面面積は約80平方kmもある大きな湖です。

クッチャロ湖

クッチャロ湖は、日本で3番目にラムサール条約に登録された湖です。クッチャロ湖は、北海道の北部に位置した汽水湖で、面積は13.4平方kmほどです。

尚、島根県の方に飛来するコハクチョウは、日本海を渡って直接大陸に向かうと言われています。但し、関東や東北に飛来した白鳥の多くは、クッチャロ湖経由と考えられています。

調査したのは、2009年〜2012年の期間に合計27羽に、衛星用送信機(アルゴシステム)を付けて行われています。クッチャロ湖を飛び立ったコハクチョウは、概ね、オオハクチョウのルートと同じ方向でした。

つまり、サハリンの東岸もしくは西岸に沿うようにして北上してから、アムール川の河口付近やサハリン北部に移動しています。そこでしばらく休憩した後、オホーツク海を渡り、オホーツク海の北岸にあるマガダンやオホーツクに降り立ちます。

その後は、ロシアの東北部に位置するコリマ川に沿うようにして北上し、目的地に到着します。目的地は、コリマ川の河口付近のツンドラ地帯です。このツンドラ地帯が、コハクチョウの繁殖地になります。

コハクチョウの起点からの移動距離は平均すると、6500km、移動日数は、平均50日程でした。

まとめ

オオハクチョウとコハクチョウが故郷に帰っていくルートを調査したデータです。遠い故郷に想いをめぐらせながら産まれ故郷に帰っていくハクチョウ達はどんな気持ちなのでしょう。

地図帳を見ながら楽しませてもらいました。

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