日本のスズメはカラスと共に、常に身近いる鳥です。但し、ヨーロッパのイエスズメと違って、人との距離感はありました。農耕社会の日本では、害鳥だったからです。近年、日本でも手乗りスズメが出現しています。記事では、手乗りスズメの功罪を紹介します。
手乗りスズメの歴史
ヨーロッパなどでは、古くから公園などにいくと、小鳥が人に寄って来るのが普通でした。
そんな小鳥を見ると、羨ましいと感じていましたが、何時の頃からか日本でも、手乗りスズメの話題が出てきました。手乗りスズメとは、人の手の平の上でエサをついばむ野生のスズメです。
日本の手乗りスズメの歴史
日本の、手乗りスズメの記録には次のようなものがあります。
- 1994年 横浜市中区の横浜公園で、手乗りスズメ出現。
- 2005年 東京都渋谷区の明治神宮や、上野の不忍池付近に、人慣れスズメ出現。人慣れスズメは、人に近寄ってくるスズメのことで、手乗りスズメではありません。
- 2007年 和歌山県の南紀白浜、大阪市の花博記念公園鶴見緑地、そして東京都のお台場や北の丸公園に、手乗りスズメが出現しています。
- 2008年 東京日本橋のデパート屋上で、人慣れスズメが出現しています。
そして、2009年以降は、東京、兵庫、千葉、大阪、横浜の公園などで多くの、手乗りスズメが目撃されています。
手乗りスズメが現れた理由
手乗りスズメが出現する場所は、都会の公園などです。日本で、手乗りスズメ、が目撃されるようになった理由をかってに推定すると、次のようなことが思い浮かびます。
- 高度成長期や、バブル期を経て、低成長期に入りしましたが、成熟した日本社会では、高齢化社会をむかえて、公園でゆっくり時間を過ごす人々が増えてきました。そのため、気持ちに余裕がある人々が、スズメにエサをやるようになったのではないでしょうか。
- 旅行者の経験や、テレビなどの映像をみることで、小鳥と仲良くする欧米の人々の影響を受けた。その結果、スズメにエサをやるようになったのではないでしょうか。
手乗りスズメの出現によるメリットとデメリット
手乗りスズメの日本での出現は、良い点ばかりではありません。次に、メリットとデメリットを紹介します。
良い点
手乗りスズメが増えて、良い点は、人々の心に余裕が生まれて来たと思われる点です。そして、人とスズメとの接点がもてれば、人々にとっても癒される気持ちが高まるのではないでしょうか。
悪い点
手乗りスズメが増えるのは、スズメ達の人への警戒心が薄くなったことを示しています。すると、ますます、スズメの人への依存度は高くなってしまうでしょう。
現在、スズメの生息数は大幅に減少したと言われています。原因は、不明ですが、人に依存し過ぎたため、人々の生活様式が変化して棲み家を失ったのではないかとも言われています。
このような状況の中で、スズメ人への警戒心が薄くなると、ますますスズメの減少化が進行してしまう懸念があります。
まとめ
手乗りスズメと聞くと、微笑ましい感じがしますが、人との依存度が高くなり過ぎるのは、スズメにとっても、良くありません。
ヨーロッパに生息しているイエスズメは、日本のスズメと違い、人の民家周辺だけにいるのではなく、森や林に巣を作ります。そのため、人の生活環境が変わってきても、イエスズメへの影響はないのでしょう。
スズメの生活様式は変えられませんが、お互いの距離感を保つことは必要のようです。