お洒落とは程遠いヒヨドリには、理由もなく親近感が湧きます。寒い冬になると庭に現れて、赤いナンテンの実を他の鳥から独占するヒヨドリです。そんなヒヨドリも、大声を出して疾走する鳥には、まるで弱いようです。人々に愛されるヒヨドリを紹介しています。
ナンテンを食べるヒヨドリ
毎年、冬になるとポストの脇のナンテンの赤い実が、一部無くなります。きっと庭にやってくる小鳥の仕業です。
我が家の庭は、手入れなど殆どしないせいか、小鳥にとっては居心地が良いのかもしれません。多くの鳥がやってきます。
ナンテンの実を食べたのは、恐らく、ヒヨドリでしょう。以前、ナンテンの枝をしならせるようにぶら下がっているヒヨドリを見たからです。
ヒヨドリは、27センチ位の大きさの野鳥です。灰色の体とボサボサの頭と生意気そうな風ぼうをしています。鳴き声も、キー、ピーと騒がしい鳥です。ところが、日本では平安時代から親しまれていたようです。
そんなヒヨドリのことを調べたので、紹介します。尚、鳥類学者の松原始先生が執筆した鳥類学者の目のツケドコロ(ベレ出版)を参考にさせて頂いています。
ヒヨドリとはどんな鳥なの?
日本のヒヨドリ科の鳥は、2種ですが、東南アジアでは10種類もいます。熱帯や亜熱帯地域の森林に適応した鳥で、あまり地上には降りません。
日本のヒヨドリは、常緑低木のアオキの分布と、ほぼ重なっていて、北海道にもいますが、冬になると本州に移動します。私が住んでいる関東では、寒くなるとヒヨドリが目立つようになります。
ヒヨドリ科の鳥は、昆虫などもたべますが、果実食がメインです。東南アジアでは、時期に応じてさまざまな果実がありますが、季節性が強い日本では、果実食に依存するのは珍しい鳥です。
ヒヨドリの好きな果実
紅くて目立つナンテンの実は、たいてい庭先に有るため、鳥たちの争奪戦を見るにはもってこいです。ナンテンと同様に赤い色をした庭の低木には、ピラカンサ・センリョウ・マンリョウなどがあります。
鳥類学者の松原始先生の書籍によると、真っ先に食べられるのは、ナンテンで、次がセンリョウ、最後にマンリョウです。ピラカンサの順は記載されていませんでしたが、あまり人気がないようです。
ただし、地上に下りることを好まないヒヨドリにとっては、木の背丈で最も食べやすいのがナンテンなのかもしれません。
尚、野山で最も人気の高いのは、クスノキです。年末年始頃の京都や奈良では、ヒヨドリの群れがクスノキ果実に集まります。
ナンテンの実の争奪戦
ヒヨドリは、ナンテンの実が好きで、メジロやジョウビタキなどがナンテンを食べに来ると、直ぐに追い払ってしまいます。
ところが、面白いことに、ケケケケッとけたたましく鳴きながら地面を疾走するツグミが来ると、ヒヨドリは飛んで逃げるそうです。
そして、ツグミもシロハラという鳥が、キョキョキョキョと声を張り上げて突っ走ってくると直ぐに逃げ出します。
ツグミもシロハラもヒヨドリよりも小さくて、強い鳥には見えません。でも、騒がしい鳴き声と、地面を素早く走る行為は、他の鳥にとっては脅威(きょうい)なのでしょう。
まとめ
寝ぐせの髪の毛のようなヒヨドリの頭部は、お世辞にもお洒落とは言えない風体です。そこが、多くの人々に好まれるのでしょう。とても親近感が湧きます。
そんなヒヨドリは、日本が北限でした。季節色の強い日本では数少ない果実食の鳥ですが、初夏から夏の時期には、多くの昆虫を食べます。
人から見るヒヨドリは、果実が好きで、親しみのある鳥ですが、昆虫から見たヒヨドリは、肉食恐竜のように見えることでしょう。
昆虫からみると恐ろしい鳥ですが、ヒヨドリは大声を出して地面を疾走する鳥が来ると、声がするだけで逃げ出します。そんなところにも親しみが湧いてしまいます。