研究者が見たアリの生態

アリ アリ
アリ

アリは、昔話の中でも働き者の代表として扱われることが多い昆虫です。でも、いつも一生懸命働いているわけではありません。この記事では、アリの研究者によって観察された、アリの生活の一場面を紹介しています。アリが、身近に感じられるでしょう。

研究者が見たアリの生態

アリを観察すると、いつも忙しそうに動き回っています。イソップ物語の「アリとキリギリス」や、旧約聖書のアリも、働き者として描かれています。

ところが、アリの研究者によると、現実は違いました。

以下の内容は、研究者が観察して確認したものです。

アリの寿命

働きアリは、全てメスアリで寿命は1年から2年程です。これは、アリの種類によるものではなく、アリの役職で決まっています。

女王アリも、働きアリになるタマゴから生まれますが、寿命は10年から20年程度と長寿です。

但し、どんなタイミングで何をすれば女王アリになるのかは、まだ確認されていません。
(ミツバチは、ローヤルゼリーのみで育てられた個体が女王蜂になりますが、アリについては、まだわかっていません。)

《女王アリが長寿な理由(推測)》

  • 栄養が豊富な食べ物を食べているため?
  • 抗酸化物質を体内にもっているため?

外を出歩くアリはどんなアリなの?

外に出てエサを探す働きアリは、主にベテランのアリです。巣全体の3〜5%程と言われています。

働きアリは、思っている以上に少ないですが、巣の中には外を出歩くアリの20倍以上もの働きアリがいることになります。

つまり、巣内にいる若い働きアリは、巣の中の仕事が中心です。

考えてみれば巣の外は、危険な場所です。アリは、役割分担する組織社会です。そのため、経験豊富なベテランのアリが外で働くのは、理にかなっているのでしょう。

人工巣を観察して、確認したこと

研究者が、アリを観察するための人工儀巣(じんこうぎそう)を作って飼育観察した結果、次のことが確認されています。(人工蟻巣は、働きアリと女王アリを含めたコロニーとして製作されています。)

  • 巣内の「働きアリ」は、お互いに寄りそって、じっとしている。
  • 巣内の、働きアリが忙しく動き回るのは、子育ての期間や、餌(えさ)を取り込む時、又は敵の襲撃を受けた場合などでした。
  • 巣の外で、働きアリが盛んに活動するのは、幼虫が食べ物を必要としている春から夏の期間でした。
  • 外で活動するアリは、仕事を終えると、巣に戻ります。ところが、暫く巣の入口付近で休憩しているようなアリもいます。まるで、仕事帰りのサラリーマンが軽く酒を飲んでから、帰宅するようです。

まとめ

アリの社会は階級制度がきっちりしています。普通に外で見かけるアリは、どの種類のアリも「働きアリ」の階級です。

働きアリは、働くことに特化していて、飛ぶための翅(はね)や、その他のパーツは持っていません(無くなっています)。

ちょっと可哀想ですが、働きアリは消耗品のような存在です。

こんな、働きアリは、いつも忙しそうに動き回っていて、物語や、旧約聖書でも、働き者として描かれています。

ところが、アリの研究者によると、現実は違いました。

アリの行動の意味は、まだ判っていないことが多いです。但し、アリが一生懸命働くのは、必要にせまられた場合に限られていました。

食うか食われるかの自然界では、無駄なエネルギーは使わないで、緊急時のために備えているのでしょう。

サイボーグのように見えるアリも、普通の生物でした。ちょっと、ホットしますね。

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