アリジゴクって何のこと?|アリジゴクの獲物のしとめ方

アリジゴクの罠 昆虫・虫
アリジゴクの罠

アリジゴクとは、ウスバカゲロウという虫の幼虫のことです。この記事では、何故、アリジゴクという名称がつけられたのか? また、同じ場所でじっと獲物を待つ性質のこと、及び獲物をどのようにしとめるのか等、を紹介しています。

アリジゴクって何のこと?

ウスバカゲロウの幼虫

ウスバカゲロウの幼虫

アリジゴクとは、ウスバカゲロウ類の幼虫のことです。

ウスバカゲロウの幼虫は、アゴを開くと大きな牙が目立って、怖そうな虫ですが、アリジゴクという名称とは結び付きません。

恐らく、アリジゴクという名称は、ウスバカゲロウ類の幼虫が作った、すり鉢の罠(わな)から命名されたのでしょう。
すり鉢のような形の罠に、アリが落ちた時に、どんなにモガイテも逃げられない様子から、命名されたと考えるとイメージが湧きます。

獲物は、アリだけではありません。アリ程の小動物は、大抵アリジゴクの餌になってしまいます。

 

・アリジゴクの獲物のしとめ方

アリジゴクは、罠の乾いた土の中に潜んでいて、獲物が罠に落ちると、すり鉢状の傾斜を這い上がって逃げようとする獲物に土をぶつけます。ぶつける土は、アリジゴクが頭を捻ってすくい上げたものです。

アリジゴクは、すり鉢を転げ落ちてきた獲物に、キバで噛みつき、土の中に引きずり込みます。

アリジゴクは、大きなキバで獲物をかみ砕いて食べるのではなく、獲物の体に突き刺したキバから体液を吸い取ってしまいます。アリジゴクの大きなキバは中空のストローのようになっています。

また、アリジゴクのキバは、獲物の体液を吸い取るだけでなく、注射器の役目も持っていて、噛みついた獲物が直ぐに死んで動かなくなるように、キバから強力な毒素を注入する機能も持っています。(キバから出る毒素はアリジゴクの胃袋に共生する細菌由来のものと言われています)

アリジゴクは、キバから獲物の養分を吸い尽くすと、獲物の死骸は巣の外に弾き飛ばします。
このため、巣の周囲には、小さな虫たちの死骸が点在していることがあります。

 

アリジゴクが成長するのは大変

このようにして、栄養を摂ったアリジゴクは成長して、砂の中に丸い繭(まゆ)を作って、やがては、繭の中で蛹(さなぎ)になります。

そして、数週間後にはウスバカゲロウになって飛び立ちます。

ただし、待ち伏せして獲物を獲るのは大変です。場合によっては、いくら待っても獲物が来てくれないこともあるでしょう。十分に栄養を摂れないと成虫になれないため、幼虫の期間には、幅があって、1年から3年程ばらついています。

 

ポイント

アリジゴクは、ウスバカゲロウの幼虫のことでした。

但し、すり鉢状の形をした、ウスバカゲロウの幼虫が潜んでいる罠(わな)から命名されたと考えた方が、しっくりします。

今回は、触れませんでしたが、ウスバカゲロウの幼虫には、トレードマークのようなすり鉢状の巣で過ごさない種もいます。彼らは、罠となる巣を持ちませんが、いずれの種でも、最初に決めた場所で獲物をじっと待って捕まる戦略は同じで、辛抱強い頑固な性格(性質?)は、一緒です。

せっかちな人には、とても真似できないような生活でしょうが、客観的に見ると面白い生き方です。このことを知ってから、ウスバカゲロウという昆虫を見かけた時には、じっくり観察するようになりました。

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