小さな昆虫は不思議な能力であふれています。ハエやゴキブリの素早い動きはどのようにして実現しているのでしょうか? とても、不思議です。まだ、分かっていないことが多いですが、これらのメカニズムが究明できれば、人に役立つ技術に応用されるでしょう。
昆虫の不思議な能力
地球上には、180万種類の様々な生物が生息していますが、その半分以上は昆虫と言われています。地球上の多くの地域にいる昆虫は、様々な環境の下で生息できる能力を持っています。
例えば
- ミツバチの複眼
ミツバチの複眼には、偏光や紫外線を検知できる視細胞があります。そして、例え太陽光線が雲に隠れていても、一部に青空が見えるだけで、正確に太陽の位置を特定できます。 - 夜行性の「ガ」
夜行性の、ガは、人には聞こえない超音波に反応して、こうもりの攻撃から逃げることができます。 - ゴキブリ
ゴキブリは、とてもすばしこい生き物です。これを可能にするのは、お尻のあたりにある1対の尾葉と呼ばれる突起した器官があるためです。尾葉には沢山の毛が生えていて、わずかな風圧を受けただけで、敵が来たことを察知できます。尾葉は、1秒間に1㎝程の弱い風でも、風圧を感じ取れると言われています。その風圧は、人間では全く判らないレベルです。
このように、昆虫の能力は、人に知られていないような様々なものがあります。昆虫の特異な能力を究明すれば新しい技術に応用できる可能性があります。実際に、さまざまな研究がされています。
素早い昆虫
動きが早くて簡単には捕まえられない生物と言えば、ハエやゴキブリです。彼らは、小さな虫のため、脳も極小です。何故、そんな俊敏な動きができるのでしょう。
次に、ハエとゴキブリの俊敏で、すごい点を例で示します。
ハエ
ハエは、いつも前脚をこすり合わせています。ハエの脚には、味覚を感じる器官があって、逆さに天井にくっつけるように粘着性の液体が出ています。
ハエを、捕まえようとしてもすばしこくて無理です。ハエがすばしこいのは、脚と同じように特別な能力が、どこかに隠されているのでしょう。
実は、ハエは、光の点滅を人よりも精度よく見分けることが出来るそうです。
《光の点滅を見分ける能力》
人では、45回/秒程度の点滅まで見分けられますが、ハエは、250回/秒程度まで判ることが確認されています。
但し、こんなことが出来ることと、すばしこい動きが出来る原因は、まだ究明されていません。
ゴキブリ
ゴキブリの反応速度は、実に、0.02秒です。人の反応速度は、その10倍もかかります。
このことは、風を素早く感じる感覚器官の他に、脳の処理速度も速いことを指しています。
ところが、人の脳に比べると昆虫の脳は米粒程の大きさです。そして、脳の神経細胞は、人が1000億個程度なのに対して、昆虫は人の100万分の1程度しかありません。
これ程、数が違うのなら、脳を作っている神経細胞が違うのではないかと想像しますが、昆虫と人の神経細胞は共通しています。
では、何故、人の10倍も速く反応することが出来るのでしょうか? 残念ながら、まだ、究明できていません。
まとめ
ハエやゴキブリの事例からも想像できると思います。人が、昆虫の不思議な能力の仕組みを明らかにすることが出来れば、多くの技術的な課題は突破できるでしょう。
また、将来、人を含めた生物の脳に共通する基本的な仕組みが判るようになるかもしれません。