アリの種類は多くて、全体像が把握しにくくなって来ました。この記事では、世界のアリを大きなくくりで分類して、大まかな特徴を整理しています。アリの世界を俯瞰(ふかん)して見ているので、全体像が見えるようになります。アリの世界が楽しめるでしょう。
世界のアリを大きなくくりでまとめた分類
アリには様々な種類がいて、知れば知る程、その世界の多様性に驚かされます。変わった種類のアリの習性や、個別のアリの行動についても興味はつきません。
但し、あまりにも複雑のため、アリの全体像が分からなくなってしまいます。
世界のアリを大雑把に俯瞰(ふかん)すると次のようになります。
世界のアリの分類と特徴
行動や習性が特徴的な世界のアリを分類すると、次の種類に分けられます。
略奪アリ、軍隊アリ、ツムギアリ、サムライアリ、ハキリアリ、アルゼンチンアリ。これらのアリの特徴は次のようなものです。
略奪アリ
略奪アリは、アジア、アフリカ、オーストラリアの熱帯や亜熱帯に生息しているヨコヅナアリ属のアリです。通称殺し屋アリと呼ばれています。日本では沖縄や小笠原諸島にいるヨコヅナアリのことです。
略奪アリは、役割によって体の大きさが異なっています。2.5mm程の小さなサイズの働きアリは、最も数が多く、体を繋げて橋を作る役目をします。中型サイズのアリは、狩りをします。13mmもある大型のアリは、隊列を守る戦闘アリです。
略奪アリは、餌を採る時には、しっかり分業されていて、集団で秩序正しく行動します。
略奪アリのコロニーは大きいです。コロニーは、土の中や石の下などに作ります。
軍隊アリ
軍隊アリは、サスライアリ属のアリです。サスライアリ亜科、ヒメサスライアリ亜科、グンタイアリ亜科に分類されているアリの総称です。
軍隊アリは、アフリカ・アジア・南米などの熱帯雨林地域に生息していています。
体の大きさは様々です。大型の働きアリは15mm程のサイズです。女王アリは、特に大きくて、30mm~50mmもあります。
軍隊アリは、女王アリを核としたコロニーを作りますが、特定の巣を持っていないため、餌を求めて移動し続けます。集団で移動しながら昆虫などの小動物を捕食します。
ツムギアリ
ツムギアリ属は、エメラルドグリーン色のアジアツムギアリ(スマランギナ)とアフリカツムギアリ(ロンジノーダ)の2種のみの属です。とても有名なアリです。
ツムギアリは10mm程の大きさで、いつも樹上で生活しています。ツムギアリの特徴は、幼虫が出す糸を使って葉をつなぎ合わせて、いくつもの球状の巣(20㎝程)を作ることです。
ツムギアリは視力が良くて振動にも敏感に反応します。そのため、うっかり巣のある木に接触すると集団で蟻酸や噛みつき攻撃を受けることもあるので、注意要です。
ツムギアリは、フェロモンを駆使して仲間同士の情報交換をします。
サムライアリ
サムライアリ属は、世界中で5種だけしかいませんが、人気のアリです。
サムライアリは、他種のヤマアリなどの巣を襲って、蛹(さなぎ)を持ち帰って奴隷にします。サムライアリの女王は卵を産みます。
但し、女王以外のサムライアリも、日常生活の全てを奴隷アリにしてもらわないと生活できません。
見方を変える、サムライアリは、他のアリの巣を襲撃して奴隷にする蛹(さなぎ)を持ち帰ること以外は何もできません。ちょっと寂しいアリです。
ハキリアリ
ハキリアリ属のアリは、熱帯地方に数10種もいますが、木の葉を切り落とすため農業害虫として恐れられています。
葉を収穫して移動する様子は、本の表紙や、映像でたびたび紹介され、研究対象としても注目されています。
ハキリアリがキノコを育てるのは、キノコを餌として食べるからです。ハキリアリが持ち帰った木の葉は、口に入れてかみ砕き、吐き出してキノコの養分にします。
木の葉を切って持ち帰るのは大変な労働です。そのため、ハキリアリには役割によって、様々な、サイズのアリが、分業をしています。
ハキリアリの中で、16mm程の大型のアリは、巣を守ります。中型(10mm程)のアリは、木の葉を切り落として運搬します。小さな3mm程のアリは、持ち帰った葉の細分化や、菌の培養などの仕事を担当しています。
ハキリアリの地下に掘られた巣には、多くの培養室があって、それをつなぐトンネルも整備されています。
そのため、コロニーは巨大化します。大きなコロニーは、数100万匹がすんでいるといわれています。
アルゼンチンアリ
アルゼンチンアリは、アルゼンチンから世界中に分布を広げているアリで、今では1兆匹も生息していると言われています。日本でも恐れられている外来種です。
大きさは3mm弱の小さいアリですが、すばしこくて目まぐるしく動き回ります。
アルゼンチンアリは、攻撃性が強くて、他種のアリの巣を襲って、全てを餌にしてしまうほど凶暴なアリです。このため、生態系への影響は大きく、世界中で注目されています。
まとめ
世界のアリを大きく分類して特徴をまとめてみました。細かい分類では、もっと多く分けられますが、まだ生体の分かっていない種も多いのが実態です。
種類の多いアリの世界が、少しはスッキリしたでしょう。