ハエは、どこかに止まっている時には、大抵前脚をこすり合わせる仕草をします。まるで、食事の前に手を洗うようにみえます。この記事では、世界中に生息しているキンバエが、前脚をこすり合わせる理由を、キンバエの特殊能力から分かりやすく紹介しています。
キンバエの特殊能力
キンバエの食事をする様子を細かく説明すると、次のような動作になります。
まず、口部の吻(ふん)という器官を伸ばして、消化液を吹きかけて食べ物を液状にしてから、なめるようにして飲み込みます。
キンバエは、食べ物の匂い(臭い匂い)を察知して飛んできますが、いきなり対象物を溶かすことはしません。味を確認して食べても良い物なのかを認識してから、消化液を吹きかけます。
キンバエの食べ物は、たいてい腐食物です。いかにキンバエでも、毒を食べると死んでしまうため、味を感じとる器官は、特別に備えられたものなのでしょう。
キンバエが、このように用心深かったとは、意外です。
キンバエの特殊な味覚器官とは?
キンバエの前脚にある感覚毛には、味覚を感じる細胞があります。
そのため
腐臭の匂い等につられて飛んできたキンバエは、前脚で対象物に触れるだけで味を感じとることが出来ます。
キンバエの前脚は、触れるだけで味覚を感じ取れる、特殊な器官です。
秀和システムが発刊した「ほんとに凄い!生き物の図鑑(千崎達也著)」では、次のように記載されています。
キンバエが手をこする理由は、「持っている特殊能力を最大限に発揮するため」と記載されています。
キンバエは、常に最大限にセンサー能力を発揮できるように、前脚にある感覚毛をこすっているのでしょう。
感覚毛にゴミなどが付着すると、センサー能力を発揮できなくなるかもしれないからです。
キンバエとは?
生ごみを食べているキンバエというハエは、常に前脚をこする仕草をします。
キンバエは、体長5mm〜15mm程のサイズで不衛生害虫として広く知られています。特に、ヒロズキンバエは、殆ど全世界に生息していて嫌がられる虫の代表です。
一般家庭から排出される生ごみなどに群がって、人の勢力拡大とともに分布を広げています。
不衛生害虫と言われる理由は、動物の死体の腐肉や生ごみを食べるからでしょう。
また、サルモネラ菌や寄生虫、小児麻痺を引き起こすポリオウィルスを広げる害虫としても知られています。
キンバエの金属光沢をした美しい外観は見事ですが、このように実害を伴う害虫でした。
まとめ
キンバエは世界中に生息していて、腐肉や生ごみを食べる掃除屋です。
但し、サルモネラ菌や寄生虫、小児麻痺を引き起こすポリオウィルスを広げる不衛生害虫のため、どこでも嫌われています。
キンバエは、常に手を洗っているように前脚をこすり合わせる仕草をします。これは、前脚に備えられている味を感じるセンサーの感度を損なわないようにするためのものでした。
キンバエの前脚の感覚毛には味覚を感じることができる細胞があって、触っただけで味を感じることができます。
キンバエはスカベンジャーの掃除屋として、腐った匂いのものを食べます。
そのため、前脚で触れるだけで味を確認できる器官を持つことで、命に影響するような物を食べないようにしているのでしょう。