イチゴのタネは、果肉を食べても見当たりません。イチゴの実と思われる赤い部分は、花の基部になる花托(かたく)です。果物の実は、果肉の中ですが、イチゴは子房以外の場所が生長するタイプです。記事では、イチゴの構造を分かりやすく紹介しています。
イチゴのタネはどこにあるの?
イチゴのタネはどこにあるのだろうと考えてみると、思い当るのは、イチゴの表面にあるツブツブです。
調べると、本当にイチゴの実は、表面のツブツブでした。タネはツブツブの中にありました。
では、食べていた赤い部分は何なのでしょう。
イチゴの実と思われていた所は
一般的な植物が花を付ける花托(かたく)と呼ばれる部分でした。
イチゴの実の作られ方
普通の果物の実は、メシベが受粉すると、メシベの下の方にある子房にデンプンや糖が蓄積されて、やがて果実になります。
こうして出来る実は真果(しんか)と呼ばれます。モモ・カキ・ウメなどは真果です。
ところが、子房以外の場所が大きく生長するものもあります。
イチゴは、花托が実のように成長する種類で、偽果(ぎか)と呼ばれています。イチジク・ビワなども偽果です。
イチゴのツブツブの構造
イチゴの実だと思っていた赤い部分の外側にあるツブツブは、メシベの子房でした。
ツブツブの構造は、薄皮に覆(おお)われていますが果肉はありません。ツブツブは、タネだけでした。
イチゴのツブツブの中身は、タネだったのです。
タネからはイチゴの食用部を大きく生長させるための、オーキシンと呼ばれる植物ホルモンが放出されています。
イチゴからツブツブを取ってしまうとどうなるの?
タネからは、生長を促進させるオーキシンという植物ホルモンが出ています。そのため、イチゴからツブツブを取ってしまうと、イチゴは生長しないのでしょうか?
イチゴからツブツブを取ると、大きくなりません。実験では、イチゴの下半分にあるツブツブだけを取ると、上半分は大きくなりますが、下半分はやせていました。
また、ツブツブを取り除いたイチゴに、実験的にオーキシンを与えるとイチゴは大きく生長することが確認されています。
オーキシン(植物ホルモン)の注意点
オーキシンは、植物の生長を促すため便利に活用されそうですが、天然のオーキシンを植物体内に入れると不安定です。
しかも自然界では直ぐに分解してしまうため農業では利用できません。
また、安定性がある合成オーキシンは、生産過程で有害なダイオキシンを含むため、日本ではほとんど使われていません。
まとめ
一般的に、イチゴの実と考えて食べられていた部分は、花を付ける基部の花托(かたく)でした。
タネは、赤いイチゴの表面に付いているツブツブの中にありました。
通常の果物の場合は、実は、メシベの下の方にある子房に、デンプンや糖が蓄積されて果実に生長します。そのため、果肉の中にタネがあります。
イチゴは、子房以外の場所が生長するタイプでした。偽果(ぎか)と呼ばれるものです。イチジク・ビワなども偽果です。