免疫力を高めて、気軽に皮を剥けるバナナは、年配者には大変人気です。バナナには種がありません。種のないバナナは世界中で売られています。では、どのようにして子孫を増やしているのでしょうか? バナナのちょっと不思議な世界を垣間見ることができます。
バナナはどんな木に実をつけているの?
TV映像等でバナナがたわわに実っているのを見たことはあります。但し、数メートルにもなる大きさを無視すると草のような葉っぱが目につきます。
実は、草のように見えるバナナは樹木では、ありませんでした。バナナは多年草の草でした。
バナナはどんな植物で、どうやって増えているの?
日本のスーパーマーケットに行くと、バナナは入口の目立つ場所に一年中あります。大人気の商品だからです。
当然、バナナは世界中の熱帯域で栽培されていますが、驚いたことに、バナナは一生に一度しか実をつけません。
バナナの地上部は、実をつけた後で枯れてしまいます。これでは、大量栽培は無理そうです。ところが、バナナの地下部は生きていて次の世代を担う準備をしていました。
バナナの地下部には、地下茎(ちかけい)と呼ばれる膨らんだ塊があります。バナナは、地下茎を枝のように広げて、新芽を出すことで増えていました。
バナナの種類
バナナの品種数の特定は、まだできていませんでした。但し、大きな分類では、2つに分けられていました。
調理して食べるデンプン質が多くて甘味が少ない品種と、生で食べる生食用の甘いバナナです。
バナナにタネがない理由
食用になっていないバナナには多数の実が入っているものもあります。但し、種があると食用には適さないため、大量生産されるバナナには種がありませんでした。
多くのバナナに種がない理由は次のようなものでした。
- 市販のバナナは、受精しません。食用バナナは、子房・花被・花托などが肥大して果実を作る、単為結実性(たんいけつじつせい)植物でした。
- 市販されているバナナは、受精しても胚発生が中断されてしまいます。理由は、種ができない、種子不稔性(しゅしふねんせい)だからです。。
- 市販されているバナナは、染色体セットが奇数でした。その為、半分に分けられずに種子ができない、三倍体性(さんばいたいせい)でした。
単為結実性には、実の中には完全な種ができません。トマトや、パイナップル、ミカンにも見られる現象です。
種子不稔性は、突然変異で作られたものです。バナナやブドウ、モモ等にも見られます。
三倍体性は、通常の父、母から遺伝情報をつかさどる染色体を1対ずつ受け継ぐことができません。そのため、二倍体になれないため、正常な花粉や卵細胞ができません。
現在量産されているバナナは、種が無い方が食べやすいため、自然発生したものです。三倍体の種子なし種や、突然変異で生じた種子不稔性などの品種です。
これらの品種が、人によって長い年月をかけて選別されたものと言われています。
まとめ
スーパーマーケットで販売されているバナナには種がありません。
理由は、突然変異などで、単為結実性、種子不稔性、三倍体性などになってしまったバナナ種です。
これらのバナナを、人の手で何世代にも渡って選びぬいた結果、完全にタネが無い品種が出来てしまったものです。
その証拠に、原種と言われる2種の実の中には種が沢山あることが確認されています。