マムシグサは名前の通り恐ろしい植物です

マムシグサ 花・野草
マムシグサ

マムシグサはサトイモ科の多年草ですが、毒蛇が襲いかかってくるような恐ろしい姿をしています。サトイモ科の植物からは、優しそうなイメージが漂いますが、マムシグサは名前の通り恐ろしい植物でした。この記事では、マムシグサの特徴を紹介しています。

マムシグサの恐ろしい姿

マムシグサという植物は、全国の里山や薄暗い林の中に生えています。マムシグサという名称は、毒蛇が鎌首をもたげて今にも襲いかかるような姿形をしているからでしょう。ただし、学問的には、サトイモ科の植物で、多年草です。

サトイモ科の花には、ほとけ様の台座の後光にあるような、仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれるものが後方にあります。

 仏炎苞(ぶつえんほう)

仏炎苞(ぶつえんほう)とは、小さな花が密集した花軸の後ろを囲むようにして花を保護する、苞(ほう)のことです。(ミズバショウの花にあるようなものです。)

マムシグサの花には仏さまに関連する名称が付けられていますが、マムシグサは名前のように恐ろしい面も持っています。

マムシグサの受粉方法と恐ろしい構造

マムシグサは、オバナを持っている雄株と、メバナを持っている雌株が、それぞれ独立している植物です。

そして、受粉にはハエが寄与しています。

但し、メバナには出口がありません。そのため、受粉に貢献したハエも、マムシグサの中で死んでしまいます。

マムシグサの構造

マムシグサは、毒蛇の鎌首のような形をしていて、仏炎苞(ぶつえんほう)が雨除けの屋根の役目をしています。仏炎苞は、マムシグサの中にハエが入ると光をさえぎる天井の役目もします。

マムシグサは、ハエを呼び込むために腐った肉のにおいを出して花の中に招きいれます。ところが、ハエがマムシグサに入ると、内側はすべりやすくて、逆戻りできない構造になっています。

マムシグサのメバナに入ったハエは、二度と外に出られなくなって死んでしまいます。でも、マムシグサのオバナには、ハエが逃げるための隙間があります。

マムシグサのオバナとメバナの構造は、授粉をしやすくするために少し違います。

  オバナの構造

オバナには、仏炎苞(ぶつえんほう)の付け根(葉が合わさった場所)の一部に小さな隙間があります。ハエは、入口に逆戻りすることはできませんが、この付け根の隙間から脱出できるようになっています。

但し狭い隙間の為、脱出に成功したハエは、花粉まみれになってしまいます。そしてメバナの所に飛んでいきます。

恐らく、オバナにある隙間は、メバナが確実に受粉するための仕掛けなのでしょう。

  メバナの構造

メバナには、オバナのような隙間はありません。腐った肉の匂いに誘われて花に入ったハエは、受粉に貢献しても、花の中から外に出ることは出来ません。
マムシグサは、食中植物ではないため、ハエを食べません。それなら、受粉が済んだら逃がせば良いのにと考えてしまいますが、これも進化の過程なのでしょう。

マムシグサの恐ろしい毒

マムシグサは、サトイモ科の植物のため、食べられそうです。美味しそうな実もなります。でもマムシグサには、シュウ酸カルシウムの針状結晶があります。
そのため、食べると口内や喉まで激しい痛みに襲われます。酷い場合は、心臓麻痺などで死に至ることもあります。

熱を加えて食べた人もいたようですが、暫く話も出来なくなるほど酷い目にあうようです。

マムシグサの実は、緑色をした実を付けます。この実は秋の初め頃、赤くなって、美味しそうですが、食べてはいけません。

マムシグサの変わった特徴

マムシグサは、オバナとメバナが分かれている雌雄異株(しゆういしゅ)です。雌雄異株のどちらになるかは、栄養の状態で決められるため、性転換植物でもあります。

マムシグサは、成長してから数年後にオバナをつけます。その後、さらに数年間十分に栄養を蓄積すると、オバナをやめてメバナをつけることができるようになります。

メバナをつけるようになっても栄養が不足すると、オバナに変わります。

まとめ

マムシグサは、全国の里山や薄暗い林の中でみることができるサトイモ科の植物です。

マムシグサの姿形は、毒蛇が鎌首をもたげて今にも襲いかかるように見えます。

マムシグサは、恐ろしく見えるだけでなく、受粉をしてくれるハエを花の中から脱出できないようにしてしまう構造をしています。

それだけではなく、シュウ酸カルシウムの針状結晶が有ります。秋の初めごろになると、美味しそうな赤い実をつけます。

但し、毒があります。食べると酷い目にあうことも知られている恐ろしい植物です、気を付けましょう。

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