フンチュウが地球にいなければ、地球は動物の糞だらけになっていたでしょう。この記事では、あまり知られていない、フンチュウの活動内容を分かりやすく紹介しています。そして、どんな生物も、何らかの形で、他の生き物のために役立つことに気づかされます。
フンチュウの活躍で糞だらけにならなかった地球
動物の排泄物は、毎日大量に出ます。地球環境が保たれているのは、フンチュウと呼ばれる昆虫(フンコロガシ等)のおかげだと言われています。
フンチュウが、動物のウンチを食べてくれるからです。
もちろん、動物の排泄物は、バクテリアによって分解されて土に戻りますが、それだけでは追いつかないからです。
フンチュウのおかげという証拠
フンチュウのおかげで、地球が糞だらけにならなかった理由を、オーストラリアとタイ(象)の例で紹介します。
オーストラリアでフンチュウが役立った例
その昔、家畜のフンチュウがいなかったオーストラリアでは、糞が散乱して大変な状態でした。19世紀に、ヒツジや牛がオーストラリアに持ち込まれていたからです。
糞の対策
オーストラリアでは、アジアやアフリカから、家畜のフンチュウを連れてきて、糞の処理を行ってもらうという対策を実行しました。
この結果、衛生状態は、大幅に改善したと言われています。
何故、他地域のフンチュウが必要なのでしょう
オーストラリアにも、元々暮らしていたカンガルー等の動物はいました。当然、彼らの糞を食べていたフンチュウもいたはずです。
ところが、カンガルー系の糞と、ヒツジや牛などの家畜の糞では、処理するフンチュウの種類が違っていました。
フンチュウにも糞の好みが、あるのでしょう。
象の糞を食べる大型のフンチュウ
タイには、おとなしくて材木の運搬などをする象がいます。
現在は、森林保護のため、国から森林伐採が禁止されています。今では、タイの象も観光用が主体です。
但し、象のキャンプ地に行くと、一つの塊が30㎝程の糞を見ることができます。
そんなに大きな糞をする象がいっぱいいた時代には、さぞかし大変だったでしょう。ところが、そんなことはありませんでした。
タイには、巨大な象の糞を瞬く間に片づけてくれるフンチュウがいたからです。
《オオサマナンバンダイコクとセアカナンバンダイコク》
タイの代表的なフンチュウは、オオサマナンバンダイコクと、セアカナンバンダイコクという巨大な昆虫です。
オオサマナンバンダイコクのオスは、65mm程の大きさです。セアカナンバンダイコクのオスは、55mm程の大きさです。これらのビッグサイズの昆虫は、象が糞をすると直ぐに飛来して、糞を食べ始めてくれます。
その後、彼らのメスも飛来して糞の近くに産卵のための穴を掘り始めます。メスは、象の糞を小分けして穴に引き込みます。
メスのフンチュウは、塊にした糞の中に卵をひとつずつ産んで、周りを土で固めた糞玉にします。
卵を産み付けた糞玉は、幅50㎝、高さ20~30㎝程の産室(穴)内に数個置かれています。つまり、糞は、地面に掘った穴に、片付けられます。
メスは、しばらく産室にとどまって、幼虫の食べる糞が不足すると外から糞を穴の中に入れる等の世話をします。
こんな風にして、フンチュウが、ウンチを食べてくれるおかげで、地球は糞だらけにならなかったのです。
フンチュウの種類と役割
フンチュウは、哺乳類などの動物の糞を食べる甲虫類です。
日本にも145種類のフンチュウがいると言われていますが、生態が判っていないものも多いそうです。
私も、子供の頃、カブトムシの幼虫が牛の糞の中に、いっぱいいたのを見たことがあります。
牛の糞は畑に積まれていましたが、糞をほじくると、真冬でも湯気がたつほど高温でした。(酸化熱です。)
カブトムシにとっては、暖かいエサの中に住めて最高の環境だったのでしょう。農家の人も、カブトムシやバクテリアが糞を減らし、分解するため助かっていたのでしょう。
まとめ
微生物による分解で、ウンチが土に戻るものと思っていましたが、間違いでした。
地球が動物などのウンチだらけにならないのは、フンチュウのおかげだったのです。
思い起こせば、実家で生ごみを処理するために、容器を畑に置いていました。この容器には、生ゴミを捨てるのですが、ゴミの量は、一定量から増えませんでした。
容器の中には、ウジムシが大量に生息していて、生ゴミを食べてくれていたからです。地球の生き物は、様々な役割を担ってくれていたのです。感謝しています。