日本はスズメバチの王国です。世界最大のオオスズメバチや、攻撃的なキイロスズメバチの他、異色の社会寄生をするチャイロスズメバチもいます。この記事では、日本のスズメバチの種類と、チャイロスズメバチによる社会寄生の方法などを紹介しています。
スズメバチの種類
世界中のスズメバチは、4属67種類です。その中で、日本のスズメバチは、3属16種も生息しています。世界最大のオオスズメバチも日本のハチです。
それどころか、スズメバチの中でも社会寄生という異色の生態のスズメバチも生息しています。
異色のスズメバチとは、チャイロスズメバチのことです。
日本にいるスズメバチの分類
日本のスズメバチは、次のように分類されています。
《スズメバチ属(7種類)》
オオスズメバチ、キイロスズメバチ、コガタスズメバチ、モンススズメバチ、ヒメスズメバチ、ツマグロスズメバチ、チャイロスズメバチ
《クロスズメバチ属(5種類)》
クロスズメバチ、シダクロスズメバチ、ツヤクロスズメバチ、キオビクロスズメバチ、ヤドリスズメバチ
《ホオナガスズメバチ属(4種類)》
キオビホオナガスズメバチ、シロオビホオナガスズメバチ、ニッポンホオナガスズメバチ、ヤドリホオナガスズメバチ
このように、3属16種類のスズメバチが日本に生息しています。
日本でスズメバチの被害が最も多いのは、個体数が多くて攻撃的なキイロスズメバチによるものです。そして、日本には世界一大きくて強力な顎(あご)を持っているオオスズメバチもいます。
日本は、スズメバチの王国です。しかも、異色のチャイロスズメバチも日本に生息しています。
チャイロスズメバチの生態
チャイロスズメバチとは、どんなスズメバチなのでしょうか? 体の特徴や性格と、異色と言われる社会寄生の内容について紹介します。
チャイロスズメバチの体の特徴
チャイロスズメバチは、赤茶色(腹部は黒)の蜂です。女王蜂は、大きさは30mm程です。働き蜂のサイズは、17~24mm程です。あまり大きな蜂ではありませんが、外骨格(がいこっかく)は硬くて、オオスズメバチの大あごでも貫通しない程です。
チャイロスズメバチの性格は攻撃的で執念深いため、一度狙われるとかなり遠方まで追ってきます。しかも刺されると、強烈な痛みに襲(おそ)われます。
社会寄生とは?
チャイロスズメバチの女王は、他種のスズメバチの巣に入り込んで、女王を殺して巣をのっ取ってしまいます。これが、チャイロスズメバチによる社会寄生です。
《チャイロスズメバチの社会寄生の方法》
- 他種のスズメバチが巣を作り始めて、最初の働き蜂が羽化(うか)する頃、チャイロスズメバチの女王は越冬から目覚めます。
- 越冬から目覚めたチャイロスズメバチの女王は、他種のスズメバチの巣に入って女王蜂を殺してしまいます。
- 巣をのっ取られたスズメバチの巣では、働き蜂が羽化(うか)します。すると、チャイロスズメバチの女王は、彼らを奴隷として従わせます。
- さらに時が経過すると、チャイロスズメバチの働き蜂も生まれてくるため、暫くは異なるハチが同居する巣になります。
このような一連の行動は、チャイロスズメバチの社会寄生と呼びます。チャイロスズメバチは、他のスズメバチが巣作りを始めた頃に巣をのっとります。その為に、他のスズメバチに比べて越冬後の目覚め時期を遅らせます。(一般的なスズメバチ:4~5月、チャイロスズメバチ:5~7月頃)
まとめ
世界中のスズメバチは、4属67種類ですが、日本には、3属16種もいます。その中には、世界最大のオオスズメバチや、異色と言われる社会寄生をするチャイロスズメバチも生息しています。
チャイロスズメバチの社会寄生とは、女王が、他種のスズメバチの巣を乗っ取ることです。チャイロスズメバチは、他種の巣の女王を殺して、巣をのっ取ってしまいます。
チャイロスズメバチは比較的小さなスズメバチですが、攻撃的で執念深いため、狙われないように気をつけましょう。