ホタルの点滅光の不思議

ゲンジボタル 昆虫・虫
ゲンジボタル

日本の代表的なゲンジボタルとヘイケボタルは、お尻の発光体で発光しますが、世界の多くのホタルは昼行性で発光しません。そのためか、厳密な発光目的などは、まだ分かっていません。ゲンジボタルとヘイケボタルの比較等をまとめて紹介しています。

ホタルは初夏の風物詩

ホタルというと、ふわふわと黄緑色を点滅させて飛んでいる光景を思い出します。子どもの頃は、ホタルがいっぱいいて、とても幻想的でした。

ホタルには、初夏の風物詩という言葉がピッタリですが、天敵の多い自然界で、わざわざ光を点滅させて目立つようにしているのは何故でしょうか?

ホタルの点滅光は、不思議です。

今回は、ホタルの知りたい情報を調べてまとめています。ホタルを想像して下さい、うっとうしい梅雨も少しは過ごし易くなるでしょう。

ホタルの種類

日本では、ゲンジボタルとヘイケボタルが有名ですが、日本中のホタルは40種もいます。そして、世界では、2,000種類も生息しています。ただし、そのほとんどは昼行性で発光しない種類と言われています。生息域は、熱帯から温帯の雨の多い地域が主流です。

次に日本で有名なゲンジボタルとヘイケボタルの特徴を紹介します。

ゲンジボタルとヘイケボタルの比較

ゲンジボタルとヘイケボタルは、まるで源氏と平家の争いのようです。名前の由来には諸説ありますが、ここでは省略します。

《生息域》

  • ゲンジボタルは、北海道以外の本州・四国・九州の清流を好みます。
  • ヘイケボタルは、北海道を含む日本全域の止水性(しすいせい)の昆虫で、よどんだ水でも棲むことができます。休耕田や湿地域を好みます。

《成虫が見られる時期》

  • ゲンジボタルは、5月〜6月に発生します。(暖かい地域では早い時期に発生し、涼しい地域では遅れて出てきます)
  • ヘイケボタルは、5月〜9月にかけて発生します。(暖かい地域では早い時期に発生し、涼しい地域では遅れて出現します)

《サイズ》

  • ゲンジボタルのオスは(15mm)、メスは(15mm〜18mm)程の大きさ。
  • ヘイケボタルのオスは(8mm)、メスは(10mm)程の大きさ。

ホタルが光るメカニズム

ホタルの発光現象は、物質同士が反応して違う物質に変化する化学反応と説明されています。

化学反応は、ルシフェリンと呼ばれる物質が酸素と結合した時に、発光体の、オキシルシフェリンが作られて発光します。

ホタルの体内では、この化学反応をスムーズにするための、ルシフェラーゼというタンパク質が介在しています。

《詳しい情報》
ホタルの発光の仕組みは、概ね上に紹介した内容ですが、もっと詳しく知りたい方の為に下記します。

『ホタルの発光器は、光るための発光細胞と光を反射する反射細胞、およびそれぞれの細胞に空気を送り込む気管で構成されています。

発光細胞には、発光物質のルシフェリンと触媒のルシフェラーゼがあります。これらが、酸素と結合すると化学反応が進行して、オキシルシフェリンがつくられます。

オキシルシフェリンは、高エネルギー状態(励起状態)のため不安定で、直ぐに安定状態になろうとします。

ホタルの発光は、オキシルシフェリンが励起状態から安定状態になる過程で放出されたエネルギーの差分として光ります。』

このようにして、ホタルは発光します。そして、ホタルの光は、発光器の反射層で反射した後、透明な表皮を通すため、淡い光に見えるのでしょう。

ホタルが光る理由

成虫のホタル(オス・メス)は、伴侶をもとめて光ると考えられています(求愛行動や気持ちの伝達)。

ホタルは、光ることで伴侶とコミュニケーションしています。暗い中で光ると天敵の目標にされやすくなりますが、ふわふわと飛行しながらの点滅は、位置の特定をしにくいと言われています。

ただし、産卵を終えたメスや、卵・幼虫・蛹(さなぎ)時代も光るため、理由は他にもあると言われています。

《その他の理由》

  • ホタルは体内にあると毒になる酸素を減らすために、化学反応をしているという説もあります。

これが正しければ発光現象は、毒を減らすための副産物です。

そのため、発光現象に、大きな意味はないことになります。

ホタルの一生

ゲンジボタルやヘイケボタルは、5月から7月頃までに水辺の苔(こけ)の上に産卵します。卵は約1ヶ月で孵化(ふか)した後、幼虫は、水の中でカワニナなどの巻貝を食べて過ごします。

翌年の4月頃、陸に上がった後、土の中で蛹(さなぎ)になります。その後、5月から7月にかけて成虫になりますが、成虫になると伴侶を見つけて子孫を残します。

尚、成虫になると、食べ物は水分だけしか摂らず、およそ1週間で生涯を閉じることになります。

なお、2,000種もいる世界のホタルの多くは、陸上で過ごしています。陸上のため、カタツムリの仲間を食べています。

世界的に見ると、日本のゲンジボタルやヘイケボタルのように幼虫時代を水中で過ごすホタルは、珍しい種です。

まとめ

蛹(さなぎ)時代のホタルの発光現象は、お尻だけでなくて、頭も光ります。しかも、発光メカニズムもお尻とは違います。

ホタルの発光現象は判っていないことも多いのですが、発光で消費するエネルギー効率は、蛍光灯などに比べて優れています。さらに研究が進んで、人工物の発光体にも使われるようになると素晴らしいですね。

ホタル発光は、「この世に存在する、もっとも効率の高いエネルギー変換装置」と いわれています。90%もの高効率で化学エネルギーを光に変換できます。尚、蛍光灯の変換効率は20%程度です。

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