野菜や果物の熟成に影響する物質は、エチレンガスです。エチレンガスの発生量を制御すれば、鮮度を保つことや、熟成させることができます。この記事では、エチレンガスが野菜などの鮮度に影響することが分かった背景などから、分かりやすく紹介しています。
野菜や果物を新鮮に保つ秘訣
野菜を熟成させる物質は、植物の体から発生するエチレンという気体です。野菜や果実の鮮度を保つには、植物から生じるエチレンの発生を抑制すればよいことになります。
また、収穫した野菜は、それを保管する時の置き方によってエチレンの発生量が違うことが判っています。つまり、野菜や果物の新鮮さを長持ちさせるには、保管する時の置き方に注意すれば良いことになります。
鮮度を保つ野菜の保管方法
エチレンガスは、収穫した野菜の鮮度を劣化させますが、エチレンガスは、野菜からも発生しています。
このことが分かったため、野菜農家から出荷された野菜は、エチレンガスが、発生しにくい姿勢で梱包されて運ばれます。
葉菜(ようさい)や、茎菜(けいさい)は、根を下にして置くとエチレンの発生は抑えられることが分かっています。
葉菜(ようさい)とは、ホウレンソウ・チンゲンサイ・コマツナ等です。茎菜(けいさい)は、ダイコン・カブなどの野菜です。これらの野菜は、畑に生えているような姿勢(根を下)で置くとエチレンの発生は抑えられます。つまり、長く鮮度が保てます。
但し、これらの野菜を横たえて置くと、多くのエチレンが発生してしまいます。
そのため、最近の冷蔵庫の野菜室は、野菜を立てて置くように設計されています。
逆に、エチレンガスの発生を促すことで、酸っぱい果物を熟成させることもできます。
エチレンガスが熟成に関与していると発見された経緯
エチレンガスが、植物の熟成に関与していることが分かったのは、バナナの熟成過程で発見されました。
バナナの収穫は、輸送期間などを見込んで、緑色をした未成熟な状態で収穫されます。そして、倉庫の中で、商品として丁度良い見栄えになるように、石油ストーブで温められた部屋で黄色く熟成されます。
ところが、ある時から石油ストーブをスチーム暖房に変更したところ、部屋は暖かくてもバナナは熟成しなくなりました。
石油にはエチレンが含まれていたため、燃焼させるとエチレンガスが発生していましたが、スチーム暖房からは、エチレンガスが出ないため、バナナは熟成しなかったのです。
この経験を通じて、植物の熟成にはエチレンガスが関与していることが分かりました。
酸っぱい果物を熟成させる方法
エチレンガスは野菜の新鮮さを奪いますが、それは熟成速度を速めているからです。
バナナの熟成工程でエチレンガスを使ったように、収穫した果物を早く食べごろにするためには、エチレンガスが役立ちます。
リンゴからは、多くのエチレンガスが放出されているため、果物の熟成には、リンゴを近くに置けば良いことになります。
リンゴを他の果物の熟成に使う場合は、できるだけ熟れたリンゴを選びます。そして、リンゴの熟成が進むように、上下を逆にして置きます。リンゴの上下を逆にして置くと、リンゴからのエチレンガスの発生を促すからです。
このリンゴをちょっと酸っぱいキーウィ等の近くに置くと、熟成が進行して、甘い果物になります。
まとめ
野菜や果物を熟成させる物質は、植物の体から発生するエチレンガスです。
そのため、野菜や果実の鮮度を保つ時や、逆に熟成を進ませたい時には、エチレンガスの量をコントロールすれば対応できます。
野菜や果物は、放置するだけでエチレンガスを発生します。エチレンガスは、保管の仕方(置き方等)によっても、放出量が違うため、注意が必要です。
一般的に、エチレンガスの放出量は野菜や果物が育ったのと同じ姿勢の方が、少ないようです。