日本の代表的な桜は、ソメイヨシノです。桜の花は、開花日が報道されるほど注目されていますが、「一斉に咲いて、一斉に散る」という理由は、何故なのでしょう。 記事では、ソメイヨシノという品種が生まれた理由などを含めて、分かりやすく紹介しています。
何故、桜の花は一斉に咲いて一斉に散るの?
日本の代表的な桜は、ソメイヨシノという品種です。桜の花が「一斉に咲いて、一斉に散る」理由は、ソメイヨシノは、全て接ぎ木の苗木から、日本中に分布を広げたからです。
《接ぎ木の性質》
接ぎ木の場合、苗木は元の木の特徴をそのまま受け継ぐクローンです。クローン桜は、周囲の気候が開花する温度になればいっせいに開花して、花が散る時には一斉に散ります。
ソメイヨシノは、元の木の特徴を受け継ぐクローン桜ですが、日本中にある最もポピュラーな桜です。ソメイヨシノは、気候が同じなら同時に開花します。これが日本の桜の特徴として認識されて「一斉に咲いて、一斉に散る」と言われるようになったのでしょう。
ソメイヨシノが接ぎ木で分布を広げた理由
ソメイヨシノは、江戸時代の中期頃に、エドヒガン系の桜とオオシマザクラを交配して誕生した桜です。
エドヒガンは、葉が出てくる前に、花がいっせいに咲いて、花が散る頃に葉を出します。但し、花が小さくて、数が少ないという弱点がありました。
当時は、江戸の染井村というところで園芸が盛んに行われていました。染井村の植木業者がエドヒガンと山桜を交配させて、両者の利点を受け継いだ素晴らしい花を咲かせることに成功しました。
これが、ソメイヨシノです。
染井村は、現在の巣鴨や駒込付近です。
植木業者は、この新品種の売り込みに際して、桜の名所であった奈良県の吉野山を連想させる「吉野桜」と呼びました。
ところが、明治時代になってから、染井村で作られた吉野の桜という意味で、ソメイヨシノと名付けられたと言われています。
このソメイヨシノは手入れも簡単で成長も早いことから、瞬く間に全国に広がりました。
ソメイヨシノは、エドヒガン系の桜とオオシマザクラを交配して、両者の利点を受け継いで誕生した桜ですが、大人気です。
そのため、同じ性質を受け継がせるために、クローンの接ぎ木で増やして、あっという間に全国に広がったのでしょう。
桜の花が日本中で愛されている理由
桜の花は、日本中に植えられています。
稲作の始まる前に咲く桜の花は、昔の人々にとっては、「田んぼの神様」でした。
日本人には、神様は、どこにでも宿るという考え方があります。「さくら」の「くら」には神様が地上に降りてきて一時的に滞在する場所としての「依代(よりしろ)」の意味があります。
そのため、桜の花が満開になる頃は、桜の花を愛でながら、飲んで歌って楽しみながら豊作を祈る行事が行われていました。
桜の花は、このような慣習とともに日本の各地で愛され、現代の花見につながっているのでしょう。
まとめ
日本の桜は圧倒的にソメイヨシノが多いため、桜と言えばソメイヨシノと言われる程です。
ソメイヨシノは、クローン桜のため、同じ性質を引き継いでいるため周囲の環境が整えば、一斉に咲いて一斉に散ります。これが日本の桜の特徴として認識されたため、「一斉に咲いて、一斉に散る」と言われるようになったのでしょう。