根粒菌は、なぜ地中内の窒素を取込むのでしょう

サヤエンドウの花 根粒菌
サヤエンドウの花

マメ科植物の根にあるコブ内部の、不思議な世界を紹介しています。根粒菌は、マメ科植物の、根に付いている分厚い壁のコブの中で生活しています。分厚い壁は、どんな役目をして、そこに棲む、根粒菌は何をしているのでしょう。ミステリーのような面白さです。

根粒菌が地中内で窒素を取込む理由

根粒菌は、ニトロゲナーゼという酵素(こうそ)を持っています。酵素の働きは、安定している窒素分子を生き物が利用できる形に変えることです。

でも、空気中に窒素は豊富にあります。何故、空気中の窒素を使わないで、わざわざ土壌内で対応しなければならないのでしょう。

  • 地中内で窒素を取り込む理由
    ニトロゲナーゼという酵素は、酸素を含んだ空気に触れると壊れてしまうからです。

《根粒菌が地中内で窒素を取込む理由と、地中内で行う理由》
酸素を含んだ空気に触れると壊れるので、マメ科植物は、根にコブのような部屋を作って、棲み家にしています。地中内で対応するのは、酸素の少ない条件で窒素を取り込めるようにするためです。

もしも、ニトロゲナーゼを葉っぱで保管したら、酸素が豊富のため直ぐに分解してしまうでしょう。

コブがニトロゲナーゼを酸素から守る工夫

コブは、酸素に弱いニトロゲナーゼのために次のような工夫をして酸素濃度があがらないようにしています。

  1. 根粒というコブは厚い壁に囲まれた頑丈な部屋のため、酸素を含む空気が入り込みません。
  2. コブ内には、酸素濃度が上がらないように酸素を吸着するタンパク質がたくさんあります。

根粒菌とは?

根粒(こんりゅう)は、マメ科植物などの根にある丸い数ミリメートル程のコブのような器官です。この中にはバクテリアの一種である根粒菌(こんりゅうきん)という土壌微生物が生息しています。

根粒菌は、大気中に80%もあると言われる窒素分子(ちっそぶんし)を窒素化合物のアンモニアに変換(窒素固定)します。

そして、植物の飼料となる窒素を植物に供給する働きをしています。

もちろん、根粒菌は無償で窒素を供給しているわけではありません。根粒菌は、マメ科植物から光合成で得た糖分をもらっています。共生生活です。

空気中に豊富にある窒素は使えないの?

窒素は、タンパク質の材料になるため、植物にとっては無くてはならない物です。光合成で得られる炭素・水素・酸素と違って土壌から吸収します。

空気中には80%もの窒素分子が存在していて、とっても安定しています。

但し、この状態の窒素分子を体に取り込んで使える形にすることはできません。植物だけでなく、動物もできません。

空気中に沢山ある窒素は、とても安定しているので、その状態では利用することができなかったのです。

まとめ

マメ科植物などの根のコブの内部に棲んでいる根粒菌の働きと、コブの中で活動する根粒菌の特殊な事情を紹介しました。

自然界では根粒菌の働きで、肥料のアンモニアを作り出すことができます。

ただし、工業的に作った場合、超高圧(1000気圧)・高温(500℃)の条件が必要になります。

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