タネなしの果物の作り方

種無しスイカ 花・野草
種無しスイカ

近年、スーパーマーケット売り場でも、タネなしの果物は普通です。特に、ブドウは、普通に見られます。消費者にとっては食べやすいからでしょう。では、タネなし果物は、どのように作られるのでしょうか? 記事では、タネなし果物の作り方を紹介しています。

タネなしの果物の作り方

遺伝子の話を、簡単にさせてください。

生物の遺伝子は染色体に組み込まれています。染色体の数は生物種によって決まっていますが、この染色体に変異を起こさせることで、タネなしの果物は作られています。

《変異とは?》
変異とは、普通とは変わったことが起こる事です。遺伝子の変異の世界では、突然変異という言葉は聞いたことがあるでしょう。近年では、ウィルスの変異株も話題になっています。変異が起こると、形や、生理現象なども変わります。

染色体の性質

タネなしの果物をどのようにして作っているのかを知るには、遺伝子や細胞分裂のことを少しだけ理解する必要があります。

《人の染色体の例》
人には、46本の染色体があります。これは、半分の23本を1セットとして、両親から1セットずつの合計2セットを受け継いでいるためです。両親から受け継ぐ2セットで、46本の染色体になります。

人のように2セットの染色体を持っている生物を、二倍体と呼んでいます。動物の場合は二倍体が普通ですが、植物では三倍体や四倍体、六倍体のものもあります。

タネなし果物の具体例

植物では、二倍体のものが突然変異や、体細胞分裂の際の乱れなどで、三倍体、四倍体などと、違う倍数体になることがあります。

この性質を利用してタネなし果物はつくられています。

タネなしスイカの場合

タネなしスイカは、次の方法で作ります。

普通の二倍体のスイカを発芽させて、コルヒチンという薬品をかけると、四倍体になってしまいます。

コルヒチンで出来た四倍体のメシベに、普通の二倍体の花粉を受粉させると三倍体の種子が実ります。

この、三倍体の種子からタネ無しスイカはできます。

タネなしスイカの作り方

タネなしスイカの種子(三倍体)を育てて、普通の二倍体の花粉を受粉させてもスイカは実ります。

但し、こうして出来たスイカにはタネがありません。

最近、ちょっと気になるのは一時流行っていた、タネなしスイカを、あまり見かけなくなったことです。タネ有のスイカの方が美味しいのでしょうか?

別途紹介する予定です。

タネなしビワの場合

タネなしビワは、四倍体(田中種)のビワと、二倍体(長崎早生種)ビワを交配させて三倍体のビワを作ります。

この三倍体のビワを接ぎ木で生長させてから、花粉の代わりに薬品処理(ジベレリン)をすると、タネなしビワができます。

まとめ

タネなしの果物は、当たり前になってきました。タネなしの果物を作るには、植物の遺伝子操作や薬品を使って生殖細胞を分裂しにくくするなどの工夫が行われていました。

ただし、子孫を作るために、タネ有りの果物も育てられているのでしょうね。これについては、別の機会に紹介します。

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