子どもの頃、小さくてパワーのあるオケラは子供たちの遊び友達でした。近年、田んぼを覗いても、オケラはいません。でも、当時の子供たちも、オケラのことは知りませんでした。記事では、オケラのことを分かりやすく紹介しています。オケラが懐かしい。
遊び友達だったオケラ
子供の頃、稲刈りの終った田んぼで、オケラを捕まえて、手の平に包んで遊んだことを覚えています。オケラは、逃げるために必死で、前脚を使って指の隙間をこじあけようとします。
オケラのパワーはとても強烈です。ぬるぬるした田んぼの泥にまみれた指の隙間をすり抜けて、直ぐに逃げていきました。そんなオケラですが、子どもたちは逃げていくオケラの力強さに、憧れのような敬意を持っていました。
オケラとは、ケラが正式名の3㎝程の昆虫です。(オケラは俗称)
昔は、土を掘り返すと直ぐに出てきてくれましたが、最近はお目にかかったことがありません。
考えてみれば、オケラのことは何も知りませんでした。ちょっと気になったため、調べてみました。
オケラは地中生活者の究極の姿
日本では、北海道から沖縄まで、ケラという単一種だけが生息していました。本当でしょうか?
全世界では、ケラ科は3つの属に分けられています。ケラ科の3つの属の中の、Grillotalpa属は、日本列島をすっぽり覆うような緯度の範囲に生息していました。
世界中のオケラは70種程いますが、外形にはほとんど違いがみられません。
地中生活をしているオケラには翅(はね)があって飛ぶことはできますが、遠方までの飛行は難しいでしょう。
熱帯や温帯域に広く分布している、オケラは類似の姿形をしています。恐らく、オケラのような地中生活をしている昆虫の理想的な姿なのでしょう。
オケラってどんな昆虫なの?
オケラは、学問的には「直翅目(ちょくしもく)またはバッタ目」、キリギリス亜目、コオロギ上科の、ケラ科に分類されています。
コオロギ上科ということで、胴体部や体色などはコオロギに似ています。ところが、頭部や顔の付近は、まるでザリガニのようです。
がっしりした短い前あしは、モグラの前あしのようなシャベル形です。(オケラの前あしは、地中生活に最も適しているのでしょう)
オケラの体は、短い産毛に覆われていて、水や泥などをはじきます。
オケラの能力
オケラは飛ぶこと・泳ぐこと・穴を掘ることができます。
- オケラの背中には翅(はね)があって飛べます。(夏になると街灯に飛んできます)
- オケラの産毛は水をはじくため、水に浮いて素早く泳げます。
- オケラのモグラのような前あしは、地中に穴を掘ることや地下経路をすばやく移動できます。(もちろん、地上を素早く走ることもできます)
普段は、地中の中で生活しているオケラですが、泳ぐことも・飛ぶこともできる凄い昆虫です。以上のような、飛ぶこと以外のオケラの能力については、子供時代に、オケラと遊んだ経験から知っていました。
オケラの生態
地中生活者のオケラは、湿った地面を好んで、土の中に巣穴を作って生活しています。
巣穴には、深い縦穴と、地面付近に掘られた横穴があります。この横穴は、雑食性のオケラがエサとしている、ミミズや、小さな昆虫、植物の根等を食べるために掘られたものです。
オケラは、農家にとっては、害になる虫を食べてくれるため益虫です。ところが、栽培している植物の根なども食べてしまうため、害虫にも分類されています。
オケラは、運動量が活発のため、エネルギー消費も激しく、食欲旺盛で、水分も必須です。
とてもエネルギッシュな昆虫ですが、体が小さい(3~5㎝)ため、同じ地中生活者のモグラも天敵です。モグラ以外にも天敵は多く、イタチ・狸や、カエル、鳥などのエサになります。
オケラは、越冬もするため、2年程度の寿命ではないかと言われています。
まとめ
オケラは、噛みつかないし、元気に動き回るし、ユーモラスな顔をしているため、子供の頃は大人気の虫(昆虫)でした。
最近は、見かけなくなりましたが、とても懐かしい仲間です。オケラの背中に翅はありますが、飛べるとは知りませんでした。
農家にとっては、「害虫」なのかもしれませんが、田んぼにオケラがいなくなるのは寂しいです。