カワセミは、ほぼ全国の水辺付近で見ることが出来ます。コバルトブルー色の小さな体を宝石のように輝かせる美しい鳥です。この記事では、カワセミの羽の色の秘密や、巣の形、鋭いくちばしによる雌雄の見分け方、休憩パターンなどを紹介しています。
人気者のカワセミ
公園を散歩していると、園内の池の周りにカメラマンが大勢集まっていました。カメラマンは、池に来るカワセミを撮影するために待ち構えていたのです。
カワセミは、水辺の宝石と言われる程、美しい小鳥です。それでも、カメラマンが大勢集まって撮影する程の人気者とは知りませんでした。
カワセミってどんな鳥なの?
カワセミは、ヨーロッパ、北アフリカ、南アジアなどに生息していて、日本でもほぼ全国の水辺で見られます。北海道では夏鳥ですが、他の地域では一年中見ることができる野鳥です。
大きさは、スズメぐらいで、長いくちばしと大きな頭、そして頸・尾・足が短い小鳥です。カワセミが水辺の宝石と呼ばれる理由は、輝くコバルトブルーの羽を持っているからでしょう。
カワセミのコバルトブルーの秘密
カワセミの体の色は、コバルトブルーの青緑色という印象ですが、これは頭部と、背中の色です。腹部は、白い模様があるオレンジ色のような淡黄褐色で、短い足は赤色です。
不思議ですが、カワセミのコバルトブルーは、見るたびに違って見えます。例えば、カワセミは、水面すれすれに一直線に飛びますが、そんな時にはメタリック調の青い光に見えます。
調べると、カワセミのコバルトブルーは、羽毛の微細構造が作っていました。羽毛に当たった光が屈折や反射をした時に影響し合って干渉する時に生み出される「構造色」でした。そのため、見るたびに違って見えていたのでしょう。
構造色については、本ブログの「タマムシの金属光沢の秘密」の記事が参考になります。
カワセミのダイビング
カワセミが凄いのは、こんなに小さな体なのに、水中に全身でダイビングして魚を捕まえることができることです。
カワセミは、木の枝などにとまって、或いは空中で静止しながら飛ぶホバリングをしながら魚を探します。魚を見つけると、水の衝撃を減らすため、翼をたたんで一直線に急降下して水中に突入します。
しかも、水中では目を薄い膜で覆って保護しながら魚を見ることができます。これなら正確に獲物を捕獲出来るでしょう。
カワセミの魚の食べ方
カワセミは、長くて鋭いくちばしで捕まえた魚を頭から飲み込んでしまいます。そのため、胃で消化できない固い骨などは後で吐き出します。(鳥が、吐き出したものはペレットと呼びます。)
カワセミのくちばし
カワセミのくちばしは、小さな体に比べるとかなり大きくて鋭く見えます。
カワセミの鋭いくちばしは、新幹線がトンネル侵入時の風圧緩和のために、カワセミのくちばしを真似て設計したことでも知られています。
くちばしによる雌雄の見分け方
カワセミのくちばしの色は雌雄で違うため、オス、メスの区別に役立ちます。オスのくちばしは全体が黒色で、メスの下くちばしは赤色です。
カワセミの休憩パターン
カワセミは、大きな魚なら1匹、小さな魚なら2〜3匹食べると、木の茂みなどでじっとして休憩します。
その後、1時間〜2時間経つと、魚や、ザリガニ、カエルなどを捕獲するために川辺に出てきます。
カワセミはこのパターンで1日を過ごしています。そのため、カワセミを見たくなったら、過去に目撃した川辺付近で、1時間〜2時間じっくり待つことをおすすめします。
カワセミの子育て
カワセミは、通常は単独で生活していますが、繁殖期になると、オス、メスのペアになります。卵は春から夏頃にかけて、年に1〜2回ほど産みます。
カワセミの巣は、川付近の崖などに横穴を掘って作ります。穴は、直径7センチで、奥行きは50〜80㎝ほどです。一番奥に柔らかい土や食べた獲物の骨などを敷いて卵を産みます。卵は3つ〜7つ程です。
しかし、小さなカワセミが巣穴を掘るのは大変です。巣穴を掘るため、くちばしに泥がついてしまい頻繁に水辺でダイビングしなければなりません。
巣穴を掘るのは大変ですが、天敵に襲われないように、ダミーの巣穴まで掘ることもあります。
産まれた卵は、20日間ぐらいで孵化(ふか)した後、親鳥からエサをもらって成長します。1ヶ月弱で巣立ちます。
まとめ
カワセミは、清流にしか棲めないと思われがちですが、近年では底が濁った水でなければ、汚い川や池でも生息しています。
崖などの棲み家が、護岸工事などでコンクリート化されて減ってしまったためかもしれません。
カワセミは、とても縄張り意識が強い鳥で、繁殖期以外は単独で行動しています。カワセミの棲み家に適した場所が減ることで、争いが増えなければよいのですが。…
護岸工事をしても、カワセミの棲み家を考慮して、横穴が掘れるような、ちょっとした工夫がされるといいですね。