カッコウの鳴き声には癒されますが、自分のたまごを他の鳥の巣に生んで育てさせる托卵をする鳥としても知られています。この記事では、何故、生んだ子供を他の鳥に託さなければならないのか、理由を紹介しています。托卵をする鳥の気持ちも分かるでしょう。
カッコウが托卵する理由
自分が生んだ大切な卵を、カッコウは何故、他の鳥に託して育ててもらうのでしょうか。
カッコウやホトトギス類の托卵をする鳥の体温保持能力は、低いことが分かっています。そのため、環境や運動の有無などで体温変化が激しいことが確認されています。
体温保持能力が低いと、自分で卵を抱いた場合、卵が孵化(ふか)できなくなることもあります。
カッコウが托卵する理由は、体温変化が激しいため、自分では卵を孵化させられない、という、やむを得ない事情からなのでしょう。
カッコウとはどんな鳥でしょう
まだ朝靄(あさもや)のある早朝に、森の方からカッコー、カッコーという鳴き声を聞いたことがあるという人は多いでしょう。カッコー、カッコーという声を聴くととても懐かしさを感じます。
ただし、他の鳥の巣に産卵して子育てをさせる托卵(たくらん)でも有名で、ずる賢い鳥というイメージが定着しています。しかし、実際にカッコウを見た人は少ないでしょう。
そんな、カッコウという鳥の概要を紹介します。
カッコウの概要
カッコウは、ヨーロッパやアフリカ大陸で生息する鳥です。日本には夏鳥として5月頃にやってきます。
カッコウは、九州よりも北の地域に滞在しますが、渡りの中継地として沖縄諸島などにも立ち寄ります。
大きさは、35㎝程でハトよりも少し大きく、体色は頭から背中部が灰色、胸から腹部は白地に灰色の横縞があります。
カッコウの、翼と尾は黒褐色です。なお、メスのカッコウは、ノドの付近が赤褐色です。
カッコウの特別な足指
普通の鳥の足は、3本の前指と1本の後指ですが、カッコウの足指は前後2本ずつです。これは、「対趾足(たいしそく)」と言われるものです。
対趾足の構造は、木に止まりやすい形状です。がっちり樹木を掴む、キツツキやオウムなども「対趾足(たいしそく)」です。
カッコウが托卵する鳥
托卵(たくらん)とは、自分で産んだ卵を他の鳥に育ててもらうことです。そのため、騙しやすいように卵が似ている鳥や、抱卵期間に巣から離れることの多い鳥を選んで托卵していました。
カッコウが托卵する鳥は、オオヨシキリ、モズ、アオジ、ノビタキ、ウグイスなどです。
次に、カッコウがウグイスの巣に托卵する理由を紹介します。
ウグイスに托卵する理由は?
ウグイスはスズメと同じくらいの大きさで、カッコウとは大分違いますが、ウグイスの巣に托卵しやすい理由は2つあります。
一つ目の理由は、メスは自分一人で卵をだきます。当然、自分の食事の時などには巣を離れるため、カッコウがウグイスの巣に入って卵を産むチャンスがあります。
これが、カッコウがウグイスの巣に托卵する一つ目の理由です。
二つ目の理由は、ウグイスの卵の色とカッコウの卵の色が似ているからと言われています。
托卵でカッコウが育つ理由は?
カッコウは、托卵して仮親鳥(育ての親)の巣に卵を一つ産むと、もともとあった仮親鳥の卵を一つ巣から捨てて、トータル数が合うようにします。
そして、カッコウの卵は、仮親鳥の本当の卵よりも少し早く生まれてきて、他の卵を巣の外に捨ててしまいます。
こうして、カッコウの子は、エサを独占して育つことができるのです。
まとめ
カッコウという鳥は、ヨーロッパでも鳴き声からカッコウと呼ばれています。
森の方から聴こえる何だか懐かしさを伴う、カッコー、カッコーという太い声には、とても癒されます。
托卵をするカッコウ等の鳥には、体温変化が激しくて自分では卵を孵化させることができないという事情もありました。
ちょっと、ずる賢い鳥というイメージは変わりませんが、托卵も厳しい自然界で生存するための智慧なのでしょう。