アリとアリ植物の共生生活

サンショの木 アリ
サンショの木

アリは、外敵から襲われにくい狭い空間を好みます。このようなアリの性質を利用して共生している植物があります。この記事では、植物とアリとの共生生活や、植物がアリを引きとめるために提供しているもの等を、紹介しています。異色の世界を楽しめます。

アリ植物とアリとの共生の関係

アリと植物がアリと、共生する理由は次のようなものです。

  1. 植物は、ガードマンをしてくれるアリに住まいや食べ物を提供します。
  2. アリは、棲み家を提供してくれる植物を外敵から守ってくれます。

このようにアリと共生する植物の総称のことを、アリ植物と呼びます。

シリアゲアリ属の仲間とオオバギ類の共生生活

オオバギという木は、マレー半島のボルネオやスマトラの高木です。オオバギ類には数多くの種がありますが、その中の少なくとも26種は、シリアゲアリ属のアリを住まわせて共生しています。

シリアゲアリの新女王は、交尾をすませるとオオバギの幼木を探して、茎の中に入り込んでコロニーを作ります。

こうして、シリアゲアリとオオバギの共生生活は始まります。

オオバギの幹の内側は竹のような空洞になっていて、アリの棲み家には丁度良いのです。

また、オオバギの木は、アリへの住まい提供と、葉の裏や茎の一部からアリが好むタンパク質や脂肪を提供します。

シリアゲアリは、オオバギから貰える栄養分で十分に生活できます。シリアゲアリは、さらに、甘露を排泄するカイガラムシをオオバギの空洞で家畜として養っています。

そのため、シリアゲアリは、生涯に亘ってオオバギから降りて生活する必要はありません。オオバギを守るガードマンとしての役目を果たせば良いのです。

その他のアリとアリ植物の共生生活

中南米には、オオバギの木に似た、セクロピアというアリ植物があります。

セクロピアの幹は、竹のように中空で節もあります。この中に棲むのは、主としてアステカアリ属のアリの仲間です。

セクロピアは、大きな葉の付け根付近に多くの栄養体を実らせてアリに提供しています。その代わりに、アステカアリは、セクロピアを守ってくれます。

オオバギもセクロピアも巨木ですが、低木のアリ植物もあります。それは、中南米にあるコショウの一種です。

このコショウの木は、葉柄の付け根付近に空洞を作って、オオズアリ属のアリに住まいを提供しています。コショウの木は、空洞の内壁に栄養体をふんだんに実らせて、オオズアリに与えています。

但し、アリが住んでいない時には、栄養体を作りません。

これは不思議です。そのため、研究者は、アリが植物に何らかの刺激を与えて栄養体を作らせていると考えています。

共生関係は、様々な関係がありますが、まだまだ研究者にも確認できていないことが山積しているのでしょう。

まとめ

アリ植物とアリとの共生関係は、住居と食べ物まで貰えるアリの方が、得をしているように思われます。但し、それだけ自然界では植物をおびやかす難敵が多いのでしょう。

万一、アリ植物が敵にやられると、アリの食糧源や住まいもなくなってしまう為、アリも命がけで植物を守ります。

今更ながら、考えてみると自然界で生きていくのは大変なことなのでしょう。

タイトルとURLをコピーしました