自家受粉を防ぐホタルブクロの特別な工夫

ホタルブクロの花 花・野草
ホタルブクロの花

自分のオシベで受粉する自家受粉は、正常な子孫を残せなくなる可能性があります。そのため植物は様々な方法で自家受粉を防ぎます。ホタルブクロが、自家授粉を防ぐ方法は、ちょっと特殊です。記事では、ホタルブクロの手法を分かりやすく紹介しています。

自家受粉を避けたい植物の気持ち

動物と同様に、植物も、自分のオシベで受粉する自家受粉をすると、正常な子孫を残せなくなる可能性があります。

そのため、植物は自家授粉を避けて、できるだけ同種の他の花粉で受粉したいと考えています。

自家授粉を避けるためのホタルブクロの工夫

ホタルブクロは、自分のオシベで受粉しないように、次のような工夫をしています。

  1. ホタルブクロ(A)のオシベは、まだ花が咲ききらない状態で、既に成熟しています。そして、葯(やく)から出したオシベの花粉をホタルブクロ(A)のメシベの側面に付着させます。
  2. メシベの側面にホタルブクロ(A)のオシベの花粉が付いても、ホタルブクロ(A)のメシベは成熟していないため受粉しません。しかし、ホタルブクロ(A)のオシベが付着しやすいように細かい毛を、オシベの周囲に密生させています。
  3. そしてホタルブクロ(A)のオシベは、ホタルブクロ(A)のメシベの周りに花粉をつけてしおれてしまいます。
  4. やがて、ホタルブクロ(A)の花が咲き始めるとポリネータのトラマルハナバチがやってきます。トラマルハナバチは、ホタルブクロの袋状の花の中に入り込みます。
    トラマルハナバチの体は、ずんぐり丸いため袋状の花の通路に密着します。この時、まだ成熟していないメシベの周りに付いているホタルブクロ(A)のオシベは、ハチの体に付きます。
    ホタルブクロ(A)のオシベの花粉を付けたハチは、別のホタルブクロ(B)の花に向かいます。この時、ホタルブクロ(B)のメシベが成熟していれば、ホタルブクロ(A)のオシベが(B)のメシベに付着して受粉します。
  5. やがて、ホタルブクロ(A)のメシベが成塾時期になると、ホタルブクロ(A)のメシベの周囲にある、細かい毛は脱落します。つまり、ホタルブクロ(A)のメシベに付着していた、ホタルブクロ(A)のオシベも、ハチの体から落ちて無くなります。
  6. このため、ホタルブクロ (A)のオシベは、ホタルブクロ(A)のメシベが成熟した時には、存在しないので自家受粉はしません。

この一連の機構は、複雑で、特異です。

但し、自分の花粉を他のホタルブクロに供給して、他のホタルブクロからの花粉を受粉する仕組みとしては、とても精巧です。

このような仕組みで自家受粉を避ける手法は、キキョウやツリガネニンジンなどでも持っています。

まとめ

動物と同じように、植物も、自分のオシベで受粉する自家受粉は、正常な子孫を残せなくなる可能性があります。

自家授粉を避ける手法は、植物によって、さまざまですが、ホタルブクロの方法は、かなり複雑で特異なものです。

簡単に言うと、オシベとメシベの成熟時期をずらして、自家授粉を避ける手法です。

但し、周囲にある、成熟した同種のホタルブクロには、自分の花粉を提供して受粉させる方法です。

自分のオシベによる自家受粉は避けながら、種全体の繁栄を考えた絶妙な手法です。

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