カブトムシは、気軽に育てられるため、概ね、どんな暮らしをしているか知っている人は多いでしょう。但し、カブトムシと同様に人気者のクワガタムシの生涯は、あまり知られていません。この記事では、ノコギリクワガタの生涯を分かりやすく紹介しています。
ノコギリクワガタが気になった理由
夏になると人気者のノコギリクワガタですが、秋になるとどこかに行ってしまいます。
ところが、冬でも元気なノコギリクワガタが話題になったという記事を見たことがあります。
記事では、越冬中のノコギリクワガタが冬なのに、間違えて出てきてしまったのでしょうと結論づけていました。
調べると、通常のノコギリクワガタは、秋になると枯れた木の中で成虫になって越冬します。
ノコギリクワガタの生態
ノコギリクワガタは、完全変態をする昆虫です。完全変態をする昆虫です。そのため、成虫になるには次のような経緯をたどります。
『卵→幼虫→さなぎ→成虫』
ノコギリクワガタ等の成長段階の特別な呼び名
ノコギリクワガタの越冬は、生まれた時期や個体によって、ばらつきが大きいと言われています。
《発育段階を示す、齢(れい)》
昆虫等の発育段階を示す単位には、齢(れい)を使います。
ノコギリクワガタの場合は、次のように呼びます。
- 1齢幼虫
1齢幼虫とは、孵化(ふか)した直後の幼虫です。 - 2齢幼虫
2齢幼虫は、1齢幼虫が最初の脱皮をした状態の幼虫です。 - 3齢幼虫
3齢幼虫は、さなぎになる前の幼虫です。3齢幼虫は、しっかりとした成虫の体を作るための重要な時期になります。
《休眠》
う化した直後の外骨格は柔らかくて活動できません。外骨格が硬くなって自由に動きまわるまでには時間が必要です。外骨格が柔らかい期間は、さなぎの室内で、じっとして過ごします。
この期間のことを休眠と言います。
ノコギリクワガタの越冬
多くのノコギリクワガタは夏場に生まれて、ふ化した後の3齢幼虫で越冬します。
ところが、10月下旬以降に生まれた卵の場合は、期間の余裕がありません。そのため、卵で越冬するものや、幼虫で越冬するものもいます。
- 卵のまま越冬するもの
- 1齢や2齢の幼虫で越冬するもの
等、さまざまなものがいます。
それでは、通常のノコギリクワガタの成長段階を見てみましょう。
ノコギリクワガタの成長段階と内容
卵
7月〜9月頃に、ノコギリクワガタのメスは交尾後、嗅覚(きゅうかく)で幼虫に適した場所を探して産卵します。卵は、湿った柔らかい土などで産まれます。
幼虫
卵は、およそ3週間でふ化します。卵からふ化した幼虫は、越冬に必要な十分な栄養を溜め込みます。
通常は、3齢幼虫に成長して越冬します。多くの場合、越冬の期間は、7月〜翌年の6月頃(約1年間)に及びます。
さなぎ
越冬中の幼虫は3月頃に目覚めて、さなぎになる準備を始めます。
気温が温かくなる6月〜7月ごろになると硬い土等に移動して、さなぎ室を作って、さなぎになります。
う化
さなぎから、3〜4週間程で、う化します。
成虫
う化すると成虫ですが、まだ体が柔らかいため、さなぎ室の中で休眠(約1年)します。休眠を終えて、さなぎ室から出ると、さっそく活動します。
成虫になると餌場(えさば)に行って樹液を飲みますが、ここでは子孫を作るためのオス同士の戦いをします。
オスは交尾後に生涯を閉じ、メスは、産卵場所に飛んでいって産卵後に生涯を終えます。
大雑把ですが、ノコギリクワガタの生涯は以上のような過程です。
まとめ
ちょっと勘違いをしていましたが、ノコギリクワガタは、生木の中で樹木を食い荒らすカミキリムシとは違って、土中や、枯れた立木の根本付近で成長します。そのため、ノコギリクワガタは、多くの場合、害虫とは呼ばないでしょう。
ノコギリクワガタは、枯れた立木の根本付近で長い期間や、様々な形体で成長していました。カブトムシと比べると、複雑ですね。確かに、これでは、その生態を一言では紹介しきれないでしょう。