暑い日が続きますが夏が終わると、足早に秋がやってきます。秋という季節は、年齢を経る度に大切な季節だと感じさせてくれるようです。やがて、寒くて厳しい冬を迎える季節のせいかもしれません。そんな秋に咲く、ツリガネニンジンとリンドウを紹介します。
とっておきの秋の散歩
まだまだ残暑が残っていますが、秋もしっかりやってきています。秋という季節は、あっという間に通り過ぎてしまいます。そんな季節の散歩は、とっても大切な限られたひと時です。
秋に咲く野生の草花は、比較的地味ですが、とても印象深くて、趣があるように感じられます。今回は、そんな秋の花の「ツリガネニンジン」と「リンドウ」を紹介します。
ツリガネニンジン
川原の土手に作られた道を散歩して「ツリガネニンジン」を見かけたことがあります。土手の斜面の雑草の中に、薄い紫色の下を向いた釣鐘型(つりがねがた)の花が、何となく心細げに咲いていました。
これは、キキョウ科の多年草でツリガネニンジン属の花です。なお、花の季節は7月下旬から10月上旬です。
花の形と分布
花のサイズは、15mm〜10mmと小さくて、花冠(かかん)の先はやや広がって釣鐘花冠の先端の裂片(れっぺん)は反り返っています。
ツリガネニンジンは、北海道付近のロシアから、日本の北海道、本州、四国、九州にかけてみることができます。
花の特徴と名前の由来
ツリガネニンジンは、サイヨウシャジンに似ていますが、サイヨウシャジンが母種と言われています。ツリガネニンジンは多年草で、生育環境の違いによって花の色が濃い紫から白色まで変わります。
ツリガネニンジンの名前は、花が釣鐘(つりがね)に似ていて、根は高麗人参(こうらいにんじん)に似ているため、見た目で、このような名称になったのでしょう。
リンドウ
リンドウの花は、秋の野に咲く花の代表と言われるほどポピュラーな多年草です。
生息域
リンドウは、世界的にも広く分布していて、アジアやヨーロッパだけでなく、南北アメリカの温暖な地域やアフリカ大陸の北西部、オーストラリア東部、ニュージーランドなどでも見られます。
特にヨーロッパアルプスの夏に咲くリンドウの仲間の「エンチアン」は、「エーデルワイス」、「アルペンローズ」と共に三大名花の一つとされています。
花の形状
リンドウの花は、花冠の大きさが4〜5㎝で、青紫色の鐘形で、花の先は5つに裂けています。リンドウの花は日光があたると開花して、日がかげるとしぼんでしまいます。
野山に咲くリンドウの印象
日本のリンドウは園芸品種のようになっていて品種改良品種などがたくさんありますが、野山に自然に咲くリンドウの花の印象は、そろそろ、冬を迎えようとしている林の中で、茎の先や葉のわきに、4〜5㎝の青紫の花を数個つけるイメージがあります。
そんな紫色のリンドウの花が、晩秋で他の草花が枯れたころに、ひっそりと咲いているのを見ると、不思議なわびしさがこみ上げてきます。
まとめ
今回、紹介した秋の花は、「ツリガネニンジン」と「リンドウ」でした。この2つの花は、秋の花の中では比較的色彩豊かな花でしょう。
しかし、色彩豊かで綺麗な花を見ても、秋に咲く花には、哀しみのような雰囲気があります。
そんな秋の花は、とても印象に残ります。きっと、これから厳しい寒い季節をむかえなければならないという気持が、そうさせるのでしょう。
天気のいい日には外に出て秋の散歩を楽しみましょう。とっておきの哀愁を見つけられるかもしれません。