ハワイの山頂付近に生息するギンケンソウは、厳しい自然環境に対応して、「寒さ対策」、「紫外線対策」、「水分貯蓄対策」等の工夫をして生きています。気候に囲まれているハワイとは思えないような、過酷な環境で生き抜こうとする姿勢には感激します。
1.ハワイの高山で生息するギンケンソウの工夫
ギンケンソウは、ハワイの山頂付近で生育する植物です。寒さや、強烈な紫外線から身を守るためのさまざまな工夫をしています。
1-1.寒さに耐える工夫
ギンケンソウの葉は、剣のような形状で、根元からびっしりと詰まっているようにたくさん出ています。このような葉の形で、茎の先端部を夜間の寒さから守っています。
1-2.紫外線を遮る工夫
ギンケンソウは、山頂部付近の高所に生育しています。空気は薄く澄んでいますが、太陽からの有害で強烈な紫外線をダイレクトに浴びるため、紫外線対策は必須です。
ギンケンソウの剣のような葉の表面には細くて透明な毛が沢山生えていて、光を反射するため銀色に見えます。
ギンケンソウは、この細かい透明な毛で紫外線を遮っていました。
1-3.水分を溜め込む工夫
ギンケンソウは、乾燥している高山で生きていくため、葉の中に水を溜める仕組みを持っています。
葉の中にはゼリーのような組織があって、水分を貯蔵しています。まるで、サボテンの葉のようです。
2.ギンケンソウの生息場所と環境
ハワイ島やマウイ島は常夏の島ですが、ハワイには活火山があります。ギンケンソウの生息場所は、山頂に近い、2,600m〜3,800m付近のため、空気は、冷えていて乾燥した強風も吹きすさぶ過酷な環境です。▲目次に戻る
3.ギンケンソウとは?
ギンケンソウは、キク科の植物です。細長くて尖った葉をタンポポの花のようにロゼット状に出して中心を守るように丸くなっています。葉の色は銀色に輝いていて、漢字では「銀剣草」と書きます。
剣のように尖った葉の長さは、30㎝から40㎝ほどもあって、葉の中には水分を溜めています。茎は短く、多数の葉は根本付近から外側に伸びて、途中から内側に向いてのびるため、離れてみると丸いボールのようです。
ギンケンソウは、数十年間成長した後で、中心から花軸を伸ばして花をつけますが、花茎は高さ3mの高さになることもあります。フジの花のような総状花序(そうじょうかじょ)を付けて、500個以上もの頭花を咲かせます。
キクに似た花が花茎の下の方から順に咲いていきます。この花は大量に咲くことで、花の香りを放出して、高山に生息するハチやハエなどの虫を呼び寄せて花粉を運んでもらいます。▲目次に戻る
4.まとめ
常夏のハワイにも、寒さ対策・紫外線対策・水分貯蓄等の対策をして、生息する「ギンケンソウ」という植物がありました。
ギンケンソウは数10年もの歳月を費やして子孫を残すための花を咲かせますが、花粉を運ぶ虫たちに気づいてもらえるように、一度に咲かせる花の量を出来るだけ多くして花の香を際立たせる工夫をしていました。