ランのタネは、お店では買えません。何故なのでしょう。この記事では、ランのタネが販売されていない理由について、紹介しています。ランの花は、綺麗で見栄えが良いですが、とても高価です。ランを栽培してみたいと考えていた人には、丁度良い情報でしょう。
店頭には存在しないランのタネ
ランの花は、クッキリして、華やかで、きれいです。しかも寒い冬に長く咲いてくれます。そんなランは、多くの人に親しまれていますが高価です。
タネから育ててみようと思いましたが、ランのタネはお店に売っていませんでした。
ランのタネが販売されていない理由
ランのタネは、小さくて沢山できますが、未成熟な胚だけです。発芽に必要な養分を供給する胚乳はありません。
そのため、一般家庭でランをタネから生長させるのは難しいのです。これが、お店で販売されていない理由でしょう。
普通の植物のタネ
普通の植物のタネは、発芽に必要な貯蔵物質(栄養物質)をタネ毎に持っています。ランのタネは小さすぎるため、貯蔵物質を保管するスペースがなかったのでしょう。
ランのタネの重さ
ランのタネは、100万分の数グラムと言われています。数を増やすことに力を注ぎすぎて、必要なサイズが確保できなくなったのです。確かに、これ程小さいと、発芽の栄養分を一緒にもつことができなくなったのもうなずけます。
ランのタネはどうやって成長するの?
ランのタネは、子孫を残すために、小さくなって数を増やすことで子孫を残す手法を選びました。数が多ければ、当たることも多くなるという戦法でしょう。
しかし、タネが小さいと、必要な栄養素を持てないため発芽することも出来ません。ランのタネはどのようにして発芽するのでしょうか?
ランを発芽させる共生細菌
ランは、特定の菌類(キノコやカビの仲間)と協力して、発芽に必要な栄養分をもらっていました。ランは、芽が出てから光合成で必要な栄養分を確保できるようになるまで、菌類に栄養をもらっていたのです。
ただし、共生菌との関係は、単純な仲良し関係ではありません。
ランと共生菌の関係
ランと共生菌とは喰うか食われるかの戦いから始まります。
菌類は、ランのタネを栄養にするため、タネの中に侵入しようとしますが、ランは、特別な抗菌物質を作って菌の生長を制御します。
ランは、侵入してきた菌類を制御して特殊な構造体にして消化してしまいます。大抵は、ランが勝利しますが、ランが弱っている時には、タネが腐って共生菌に食べられてしまいます。
このようなランと共生菌の関係は、一方的で共生とは思えません。ところが、菌類から栄養をもらって大きく成長したランの根には、根から栄養をもらう菌類が生息しています。
実は、ランと共生菌との関係にはさまざまな形態があって、まだ判っていないことが多いと言われています。
まとめ
ランの種は、小さくて沢山できますが、未成熟な胚だけあって、発芽に必要な養分を供給する胚乳を持っていません。
そのため、一般家庭でランをタネから生長させるのは難しいのです。このような理由で、お店で販売されていなかったのでしょう。
ランのタネは、子孫を残すために、小さくなってタネの数を増やす手法を選びました。ところが、タネを小さくしすぎたために発芽に必要な栄養素を持てなくなってしまいました。
ランは、発芽してから光合成で、自力で栄養分を確保するまでの間、特定の菌類(キノコやカビの仲間)と協力することで、発芽に必要な栄養分をもらうことをしたのです。
ランは共生菌から栄養分をもらって生長しますが、菌類とランは、喰うか食われるかの関係です。ランは、特別な抗菌物質を作って菌の生長を制御しています。大抵は、ランが菌類を食べて生長します。
このような関係は一方的にも見えますが、大きく成長したランの根には、根から栄養をもらう菌類も生息しています。
ランと同様に、自力で発芽できない「ネジバナ」も共生菌に頼っています。植物と共生菌との関係にはさまざまな形態があって、判っていないことも多いようです。