水草は、水中で誕生後、陸に進出して、再び水中に戻ったと言われています。動物のクジラやイルカも、陸上に進出後に再び水中に戻っています。移動できない植物にとっては、太陽の有害光線を直接に浴びることは、耐えられなかったのでしょう。
地球誕生後の生物の進化
植物の祖先は、約12億年前に水中で誕生しました。地球の歴史を見ると、46億年前に地球ができてから、40億年前には生命が水中で生まれたと言われています。
地球上の生き物は全て水中で誕生した後、植物も動物も陸上に進出していきました。これが地球上の生き物の進化の流れです。
ところが、せっかく陸上に進出したのに、再び水中に戻ってしまった生物もいます。
生息域を陸上から水中に戻した生物
- 爬虫類では、絶滅してしまった魚竜の仲間
- 哺乳類では、クジラやイルカの仲間
- 植物では、水草類
このように水草は、陸上生活から再び水中に戻った植物でした。
水草は、陸上から水中に戻ることで進化した植物です。なおかつ一定期間、葉や茎の一部が水中に存在するもの、或いは、水面に浮いている植物と決められています。
植物の進化
およそ12億年前に水中で生まれた植物は進化を重ねて、5億年前に陸上への進出を始めました。この時、コケ類、シダ類、種子植物類などが陸上進出に成功しました。
特に種子植物の中で、花を咲かせて虫を引き寄せる被子植物は、繁栄を極めた昆虫とともに多様な進化に成功しました。
このような大きな流れの中で、せっかく陸上への進出に成功した後に、水草の仲間は再び水中に生活圏をもとめて戻っています。
しかも、一部の種だけではなく、200種以上の植物グループで試みられて水草が誕生したことが分かっています。
恐らく、植物にとって陸上での生活は耐え難いものだったのでしょう。
植物は、太陽の有害な光線をまともに受けますが、動物は場所を移動して植物の陰への避難や穴の中に潜ることもできます。
そんなことを想像すると、多くの植物が水中生活に戻りたいという気持ちは理解できるでしょう。
水草の歴史
最初に誕生した水草は、コケ植物で凡そ4臆5,000年前と推定されています。次に生まれた水草は、スギナの仲間のトクサ属で約3億年前と推定されています。
湿地で生息するミズニラの仲間は、1億9,000年前に現れて最も長い期間、生息している水草として注目されています。
水田や池の水面に浮いているサンショウモや、デンジソウの仲間は、1億6,000年前に出現したと推定される水草です。
オジギソウを連想するサンショウモと、四葉のクローバーに似ているデンジソウは、外見は全く違います。但し、ともに胞子をもっていて、遺伝子の調査では姉妹の関係が確認されています。
研究者によると、サンショウモとデンジソウは、同じ祖先でした。ところが、水中へ進出後、環境変化によって、姿形が変わったと推定されています。
まとめ
水草は、水中から陸上生活に進出したものが、再び水中に戻って進化した植物でした。
水草は、陸上に進出した200種以上のさまざまな植物グループが、再度水中に戻ろうとしたことが判っています。
このように水中生活に戻る試みは、自力で移動できない植物には、有害な太陽光線を和らげるやむを得ない選択だったのでしょう。