ハキリアリの姿は、普通に見かけるアリのように見えますが、菌類をコロニー内で栽培して食糧にするアリです。ハキリアリの分業体制は、しっかり分かれていて体の大きさも仕事の内容によって変わります。記事では、農業を営むハキリアリを紹介しています。
ハキリアリとは?
ハキリアリは、南北アメリカ大陸や亜熱帯地域の森や草原のいたるところにいる、赤茶色のちょっと大きめのアリです。
中南米では、ジャングルだけでなく、町中や広場など、どこにも普通に生息しています。
中南米のハキリアリは、幅10㎝ぐらいの大行列で行進します。
ハキリアリの行列の形態
行列は、植物の葉や花びらを切り取って巣に運ぶものと、巣から出て再び葉や花びらをとりに向かうアリで構成されています。
採取した葉等は、体の大きなハキリアリが、大あごでくわえて背中にかついで運んでいます。大きな体のハキリアリの背中には、小さなアリが乗っていることもあります。
この小さなアリは、大きな体のハキリアリを、寄生バエから守っています。
ハキリアリの役割りは細かく分かれていますが、仕事の内容によって体の大きさまで変えています。
恐ろしい寄生バエ
寄生バエは、アリの行列を上から見ていて、隙があれば大きなハキリアリの首に卵を産み付けてしまいます。ハキリアリに卵を産み付けると、卵から孵化した寄生バエの幼虫は、ハキリアリの体内に入って中身を食い尽くします。
こんな寄生バエから守っているのが、大きなハキリアリが担いで運んでいる葉の上に乗っている小さなハキリアリです。
ハキリアリのコロニー
ハキリアリの行列の道程は50〜100メートルぐらいです。ハキリアリの巣(コロニー)の周りには掘り出した土の山があります。巣の周囲の土の山は、2メートルも積みあがっています。
コロニー内には、何100万匹ものハキリアリが住んでいますが、全て雌です。つまり、1匹の女王アリと、その娘たちです。
雄アリは、巣を飛び立って未婚の女王アリと交尾するためだけに生まれてきます。雄のアリは、特定の季節に、限られた数だけ生まれてきます。
ところが、ハキリアリの雄は、交尾が終れば死んでしまうため、コロニーの住民は雌アリだけになります。
ハキリアリのコロニーは、トンネルの迷路で繋がれた何千という部屋に分かれていて、人の頭ぐらいの広さがあります。
ハキリアリの部屋の壁には、キノコの仲間の菌類が生えています。
部屋の壁は、ハキリアリが運んできた植物片でできた糊のような物質で薄く覆われています。菌類は、この糊のような壁の物質から養分を得て育ちます。
ハキリアリのコロニー内に生える菌類とは?
壁に生えてくる菌類は、地上にはえているキノコのような形になるのは稀です。日に当たらないせいかもしれませんが、普通は細い菌糸がもつれあった塊です。
ハキリアリは、樹液等も食べますが、普段は巣の中で栽培した菌類を食べて生活しています。ハキリアリは、まさに農業を営んでいるアリです。
まとめ
ハキリアリの姿は普通のアリのように見えますが、菌類を栽培する特殊なアリでした。
ハキリアリの分業体制はしっかりしていて、体の大きさも仕事の内容に合わせて違います。
ハキリアリは、最も複雑な階級制度を持っています。