ミツバチほど話題にならない赤トンボの減少問題

ミツバチの大量死と同様に数を減らした赤トンボは問題化しませんでした。理由は、人の経済活動に影響するかどうかでした。ミツバチの減少は経済活動に影響したのです。ただし、赤トンボなどの昆虫の減少は地球環境の変化の前兆かもしれません。人への影響とは別の角度でデータを見るのも必要でしょう。

現状と背景

アカトンボ

アカトンボ

ミツバチが数を減らすと世界的に問題として報道されました。原因もさまざまですが、数種類の農薬によるものと推定され、欧州では2013年に禁止されています。

日本の研究チーム(北大)は、ペットボトルのお茶から農薬を検出して長期間飲用した場合の健康への影響を懸念しましたが、許容量の範囲内のため大きな問題にはなりませんでした。

欧米などではミツバチの減少が大きな問題になりましたが、日本では報道機関で話題にする程度で済んでいて、ミツバチと同様に数を減らしたアキアカネ(赤とんぼ)が姿を消しても、ミツバチ程の話題にもなっていません。 その理由は、何故でしょうか?

ミツバチの大量死問題とは?

ミツバチの大量死問題とは、ミツバチが死滅すると農作物の受粉業者がいなくなって、膨大な面積の受粉作業が出来なくなるという経済に影響する問題でした。

米国のミツバチ業者は、蜜をとるのがメインの仕事ではなく、農作物の受粉をするために受粉をして欲しい農家と売買契約して仕事をしていました。

米国では、広大な敷地の農作物の受粉作業を人手で行うのは無理だったため、ミツバチ業者に依頼して、ミツバチを借りて農業を営んでいたのです。

つまり、ミツバチの大量死問題は、農家の経済活動に直結していたため、大きな社会問題に発展したのでしょう。

赤トンボ減少の理由

ミツバチを減少させた農薬は、「ネオニコチノイド」というタバコのニコチンに似た物質を主成分とする農薬の総称です。

「ネオニコチノイド」は、従来の有機リン系の殺虫剤と比較して人体などへの安全性は高いと言われていて、扱いやすく長時間効果が続くなどの理由から広く普及しています。

昆虫に強い毒性

「ネオニコチノイド」は、人や哺乳類、鳥類、爬虫類などには安全と言われていますが、例えば稲のタネや苗を農薬に浸ければ、その後は何もしなくても、少量でも長期間効果を発揮する優れものです。

一度、農薬に浸けた苗を田んぼに植えると、ゆっくりと時間をかけて毒素が染み出てきます。そのため、苗の近くに小さな昆虫が来ると神経細胞を興奮させて死に至ります。

日本では、農作物に被害をもたらすカメムシの駆除を目的に「ネオニコチノイド」系の農薬が使用されていました。赤トンボなどがいなくなってしまった原因の多くは、「ネオニコチノイド」系の農薬が影響していると考えられます。

まとめ

ミツバチの大量死問題は、米国の農家の経済活動に直結していたため、大きな社会問題に発展したのでしょう。

ミツバチの大量死の主な原因は、「ネオニコチノイド」系の農薬が広く使われたためと考えられていて、欧州のEU加盟国では、屋外使用禁止にしましたが、「ネオニコチノイド」系の農薬は、有機リン系のものと比べて、人体などへの安全性が高いと評価されています。

害虫への効果は長く、使い勝手も楽なため、できるだけ安全な手法で生産する方法を探っている農業生産者にも使われることでしょう。

近年では、世界的に昆虫の数が減少したという研究結果も目立ってきました。

赤トンボのような小さな昆虫類が減っても、当面の人間の生活には影響しないため、深刻な問題にはならないでしょうが、 地球環境の変化の前兆かもしれません。