普通のアリは、肉も食べる雑食性です。他の昆虫から見ると、恐ろしくて凶暴な生き物でしょう。但し、クロナガアリは、肉を食べません。また、クロナガアリは、暑い時期を避けて活動します。アリの世界では、変わり者と言われるクロナガアリを紹介しています。
クロナガアリが風変わりと言われる理由
アリは、植物の葉の上にもいますが、それは植物を食べにやって来る小さな虫を捕食するためです。
普通のアリは、虫や動物の肉、お菓子など何でも食べます。つまり雑食ですが、クロナガアリ属のアリは、穀物(こくもつ)のタネを主食にするアリです。
しかも、暑い時期はほとんど活動していません。
こんな、クロナガアリは、アリの世界では特殊です。風変わりなアリと言われても仕方がないでしょう。
日本には1種だけ生息しています。
クロナガアリってどんなアリなの?
クロナガアリは、アリの仲間では中型~大型の部類で、体長は、3mm~12mm程です。
外形は、アシナガアリ属のアリと似ていますが、頭の幅が広く、頭の下に長い毛があって、大あごが大きくてがっしりしています。(日本に生息する種では、頭の下の長い毛はありません)
クロナガアリは、90種ほど知られていますが、多くはヨーロッパからアジアのユーラシア大陸に分布しています。その他、アフリカに12種、北アメリカ西部に8種、マダガスカルに1種が生息しています。
クロナガアリの生態
クロナガアリは、牧草地や道端などの広い場所に巣穴を開けます。一見すると巣穴も日本にいる普通のアリと変わりません。但し、タネを巣に運び込むため、雨水の影響を受けにくいように、地中深くに穴を掘ってタネを保管しています。穴の深さは、地中3~5メートルと言われています。
巣に持ち込んだタネは発芽しないようにしなければなりません。当然、クロナガアリは、湿度と温度が安定するように巣内環境を、しっかり整えています。
クロナガアリの巣内環境の整え方
働きアリが巣に持ち込んだタネは、巣内の別の働きアリによって、次のように管理されます。
「カビなどが生えないように」、また、「何時でも食べられるようにタネの皮をむいて整理して」保管します。
もちろん、主食のタネが腐らないように、衛生環境を保つためのゴミ捨て場を作っています。これは、巣の中で菌を育ててエサにする、ハキリアリと同じです。
クロナガアリの活動時期
普通のアリは、真夏の暑い時期を中心にしてエサを探して活発に動き回ります。ところが、暑さを好まないクロナガアリは、暑い夏の期間は殆ど外出しません。
クロナガアリは、植物のタネができる晩秋になると穀物を探しに巣からでてきます。また、冬を越したばかりの早春にも巣からでてきて、秋に拾い損ねたタネを探します。
そして、クロナガアリは、真冬と真夏の期間は、巣の中に貯蔵したタネを食べて過ごします。
クロナガアリはタネしか食べないの?
クロナガアリは、イネ科の植物のタネを食べます。イネ科の雑草は、種類が多いので困ることはないでしょう。クロナガアリは、どこにでも生える、エノコログサ等も好んで食べます。
意外ですが、パスタも小麦粉で作られているため食べます。
但し、普通のアリが食べている虫の死骸や砂糖などだけを与えると、死んでしまうこともあるので注意して下さい。
まとめ
雑食性で昆虫に怖れられているアリの世界にも変わったアリはいました。それが、クロナガアリです。
クロナガアリは、雑食性ではなく、雑草などのタネを主食にしていて、肉や甘いものはたべません。
その上、暑い時期を避けて、晩秋や早春に巣から出てきて活発に餌(タネ)を探す特異なアリです。
クロナガアリは本当に、几帳面で真面目な風変わりなアリでした。