植物の葉っぱは、光合成のため、真夏でも直射日光を正面から受けています。直射日光には、有害な紫外線や強烈な熱量があります。記事では、植物の葉っぱが行っている、紫外線からの防御方法や、温度上昇を防ぐ方法などを紹介しています。
植物の葉の温度コントロール方法
多くの植物の葉っぱは、真夏の強い日射しでも、光合成をするため太陽光線を受け続けています。しかし、そんな環境でも植物の葉っぱが焼けこげない理由とは何でしょうか?
植物の葉が受ける太陽光線の影響と対応策
植物は、光合成をするため太陽光線を積極的に受けていますが、太陽光線には、紫外線から赤外線までさまざまなものがあります。
人は、紫外線を浴びると日焼けや、シミ、DNAの損傷などの悪い影響を受けてしまいます。植物は、太陽に向かって葉っぱを広げているため、もっと大変です。植物は、どのように対策しているのでしょう。
《植物の有害な紫外線カットの方法》
植物は、有害な紫外線からのダメージを避けるため、アントシアニンなどの色素を作って紫外線をカットしていました。ただし、太陽光線は、葉の温度も上昇させてしまいます。
《葉っぱの温度上昇を防ぐ方法》
植物の葉っぱは、水分を蒸発させて気化熱で葉の温度を下げていました。これは、人が汗をかいて体温調節をしているのと同じ原理です。では、どのようにして水分を蒸発させているのでしょう。
植物の葉の水分蒸発方法
植物の葉の表や裏側には、気孔(きこう)という穴があって、そこから水分を蒸発させていました。この方法なら、気温の変化に応じて、蒸発速度が変わるため、ほぼ自動的に温度制御できるのでしょう。
このように植物内の水分を水蒸気にして、葉っぱから水分を蒸発させることを蒸散(じょうさん)と呼んでいます。
蒸散させる水分はどこにあるの?
植物内の水分は、茎の中にある細い管「道管」の中にぎっしり詰まっていて、葉っぱまでつながっています。そのため、葉っぱから水分が蒸発すると、蒸発した水分量だけ上に引っ張られて、土中の水分を根から吸い上げています。
しかし、土中には、葉っぱから蒸発するだけの水分に見合った量はありません。そのため、多くの植物は、常に水不足になっています。
ところで植物の葉っパの気孔の数はいくつぐらいあるのでしょうか?
《植物の葉の気孔の数》
次の()内の数字は気孔の数を表します。
- トマト:葉の表(96)、裏(203)
- リンゴ:葉の表(0)、裏(400)
- サクラ:葉の表(0)、裏(249)
- コムギ:葉の表(43)、裏(40)
- ヒマワリ:葉の表(101)、裏(218)
- スイレン:葉の表(460)、裏(0)
- キャベツ:葉の表(141)、裏(227)
このように、気孔の数は、植物の種類によってさまざまです。しかも、気孔が葉っぱの表側だけにあるものや、表と裏にあるもの、裏側だけにあるものなどがあって、生育地域や時期によっても異なっていました。
恐らく、微妙な温度コントロールは、気孔の数だけではないのでしょう。
まとめ
真夏の強い日射しにさらされると、どんなものでも有害な紫外線などでボロボロになります。ところが、太陽光線で光合成をしている、植物の葉っぱは太陽の方を向いて頑張っています。
この理由は、植物の葉っぱは、さまざまな色素を作って害を与える紫外線のカットをしていたからです。また、葉っぱの温度上昇は、水分を蒸発させる気化熱で対処していました。
葉っぱは、水分を蒸発させるために、多くの穴(気孔)を作って、人が汗をかくのと同じ仕組みで温度制御をしています。ただし、気孔の数だけではなく、他のパラメータも考慮して最適温度にコントロールしているようです。