昆虫の眼の働き

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昆虫には、複眼があります。昆虫の種によっては、複眼とともに人と同じような構造の単眼を持つものもいます。この記事では、昆虫の複眼と単眼の働きなどについて、誰にでもわかるように紹介しています。人とは違う、昆虫の眼の働き方が理解できるでしょう。

昆虫の複眼

昆虫には立派な眼があります。例えばトンボを思い浮かべると、頭部には半球状の大きな眼を持っています。トンボの眼を拡大すると六角形の小さな眼の集まりです。

これが複眼です。

昆虫の複眼は、独立した個々の小さな眼が飛び出たような半球形で、広い範囲を見ることができます。

昆虫の複眼は視野全体に渡って「オプティカルフロー」という特殊なパターンで対象物をとらえています。その為、人が驚くようなアクロバット飛行も可能になると言われています。

オプティカルフローとは?

「オプティカルフロー」とは、高速道路を走行する車から見る景色のようなものです。

車を高速走行させると、進行方向から映像が湧き出て来て、側方に流れ、後方に収束していくように感じられます。流れる像の見え方は、遠くのものはゆっくり動いて、近くのものは素早く流れるということです。

これが「オプティカルフロー」です。

オプティカルフローは、自分や、外部が変化した時の網膜に映し出される像全体の速度場と表現されます。

以上は難しい表現ですが、次のような解釈でも良いでしょう。

「昆虫の複眼は、素早い動きに対して、時々刻々の速度の変化を高解像度で見ることができます。」

ところが、多くの昆虫は複眼だけでなく、3つの単眼も持っています。

では、昆虫の単眼は何のためにあるのでしょう?

昆虫の単眼の役割

昆虫の小さな頭部では、単眼の焦点を結べないため、見るものは、ぼやけています。つまり、人間の目のように物を見ることには役立ちません。

ところが、昆虫学者によると、単眼は夕暮れと、日の出を認知する機能を持っている。のだそうです。

単眼は、微弱な光を感知する能力や、光強度変化を感じる力が優れています。そのため、飛ぶ時の姿勢制御のセンサーとして複眼の機能を補う役目をしています。

昆虫の飛行制御

昆虫が飛ぶ時に、単眼は地平線の位置検知の役目をしています。昆虫の単眼は、明るい空側と暗い地面側を視野の中間(地平線)にして飛行しています。

もしも、飛行時に昆虫の体が揺れると

縦揺れに対しては「ピッチ軸」、横揺れに対しては「ヨー軸」、体の回転に対しては「ロール軸」の3軸を制御します。

昆虫は、これらの軸が変化すると、単眼が明るさの変化を検知することで、姿勢の制御を行っています。

このような、明るい空側と暗い地面側を視野の中間に見ることを、単眼が行っていたのです。

でも単眼は、1つだけではありません。多くの昆虫は、3つの単眼を持っています。昆虫が、幾つもの単眼を持っている理由とは何でしょう。この理由は次のように考えられています。

複数の単眼を持つ理由

多くの昆虫の単眼が3つもあるのは、飛行する時の3つの単眼の明暗変化のパターンで、3軸のどれが変化したのかを判別するためだと考えられています。

まとめ

昆虫には素晴らしい複眼があります。多くの昆虫は、それだけではなく、1個のレンズと後方の細胞で構成する単眼も持っています。しかも、多くの昆虫の単眼は3つもあります。

単眼の役割は昆虫学者によって究明されていて、光強度を敏感に感じ取れる能力が、複眼よりも優れていることが判っています。

そのため、飛行時に重要な姿勢制御に使われていると考えられています。

単眼は、複眼よりも先に、明け方や日暮れも検知できるからです。

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