昆虫ミメティクスの活用|ハニカム構造と赤外線センサー

ハニカム構造 昆虫・虫
ハニカム構造

生物が長年かけて獲得した機構を研究して、人間が使う技術に応用するバイオミメティクスが注目されています。同様に、昆虫ミメティクスの研究も素晴らしい成果を上げてきました。記事では「ハニカム構造」と「高感度センサー」の活用例等を紹介します。

昆虫ミメティクスの活用

生物が進化の過程で形づくってきた形態や機能は、合理的で優れた工夫が集結しています。

昆虫ミメティクスは、昆虫が持っている優れた機能や形をまねして、工学や医療分野などに応用することです。

次に、昆虫ミメティクスの活用例として「ハニカム構造」を、研究例として「高感度センサー」を紹介します。

ハニカム構造の応用

ハチの巣の幼虫が1匹ずつ入る巣の構造は、正六角形で、ハニカム構造と言われているものです。ハニカム構造は、色々な所で使われていますが、これも昆虫ミメティクスです。

ハニカム構造は、隣同士の巣穴を隙間なく並べることができるため、スペースを最大に活用できる大変合理的な形状です。亀の甲羅や昆虫の複眼もこの構造です。

ハニカム構造は、合理的な形状というだけではなく、軽くて強度があるため、航空機の翼や各種建築材料にも使われています。段ボールが硬いのも、ハニカム構造を採用して作られているからです。

また、まだ研究段階ですが、ハニカム構造は、これらとは別の機能も評価されています。将来、実用化されるでしょう。

赤外線センサー

現在の赤外線センサーは、赤外線エネルギーが温度上昇を引き起こしてしまいます。そのため、赤外線をセンサー装置として使う時には、装置を冷やすための冷却装置が必要です。

赤外線センサーは、山火事が発生した時には、高感度センサーとして使われています。但し、赤外線センサーには、冷却装置が必要です。冷却するためには、液体窒素などの準備が必要で、とっても面倒です。

ナガヒラタタマムシは、冷却装置など無くても、赤外線を使って山火事を感知していました。

次に、内容を紹介します。

ナガヒラタタマムシが持っている能力

ナガヒラタタマムシという甲虫は、数10kmも離れた山火事も感知してしまう程、超高感度のセンサーを身につけている昆虫です。

当然ですが、ナガヒラタタマムシのセンサーには、冷却装置はありません。

ナガヒラタタマムシの能力は、物理的刺激に反応する機械センサー(メカノセンサー)ということが判ってきました。

ナガヒラタタマムシの複眼の後ろ側には、液体で充満された球状の感覚細胞あります。この感覚細胞が赤外線を受けると熱膨張して、力学的な刺激に変換されて神経に伝達されるような機構です。

ナガヒラタタマムシは、他の生物が、山火事のために、逃げていなくなった場所を見つけて繁殖する甲虫です。他の生物がいない場所なら、安心して産卵や子育てができるのでしょう。

まとめ

昆虫ミメティクスとは、昆虫が持っている優れた機能や形をまねして、工学や医療分野などに応用する技術です。

昆虫ミメティクスとは何かを説明するため、ハニカム構造の事例と、山火事を検知するナガヒラタタマムシのセンサー技術の例を紹介しました。

昆虫ミメティクスは、生物が長い年月をかけて進化して獲得した技術機構を人間の技術に応用するものです。

昆虫を研究することで、発想の転換も生まれるでしょう。増々、研究対象が広がることを期待しています。

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