完全変態と不完全変態の不思議な世界

蝶の写真 昆虫・虫
蝶の写真

昆虫には、完全変態をして成虫になるものと、不完全変態で、成虫になる種がいます。この記事では、完全変態と不安全変態の意味や違い等について、分かりやすく紹介しています。具体的な昆虫の姿を思い浮かべながら、楽しいひと時を過ごせるでしょう。

変態する虫の神秘の世界

昆虫の完全変態と不完全変態ほど不思議なものはないでしょう。イモムシが突然、美しい蝶に変身することを想像してみて下さい。

これ程、神秘的なものは他には無いと言っても良いでしょう。

完全変態と不完全変態の違いは?

昆虫の変態には「完全変態」と「不完全変態」という形態があります。

完全変態とは?

完全変態は、昆虫が卵から孵化(ふか)して幼虫時代を過ごした後に、活動をしない蛹(さなぎ)を経てから成虫になります。

完全変態をする昆虫は、蝶、アリ、甲虫、ハチなどで、大多数の昆虫は、「完全変態」をします。

例えば、幼虫時代をイモムシとして過ごす完全変態の昆虫は、蛹(さなぎ)という準備期間を経て、体の構造が全く違うものに変化します。

イモムシは、完全変態で、全く違う姿の成虫に変わることができます。

不完全変態とは?

不完全変態の昆虫は、既に幼虫の時から、翅(はね)や生殖器などがついています。

そして、蛹(さなぎ)の形態を経ずに、脱皮をするたびに成虫になる成長をしていきます。

このような「不完全変態」をするものは、原始的な昆虫(カゲロウ目、トンボ目、直翅目、ゴキブリ目など)に見られます。

完全変態は不完全変態が進化したもの

完全変態の蛹(さなぎ)は、進化の過程で不完全変態昆虫の幼虫が変化したものと考えられています。

また、蛹は、被蛹(ひよう)と裸蛹(らよう)の2つの形に分けることができます。

被蛹(ひよう)とは?

被蛹(ひよう)は、脚や触覚などが胴体と一体化した形をしています。蝶類の蛹(さなぎ)などが該当します。

被蛹(ひよう)は、葉の裏側などの目に見える所に付いていることが多い蛹(さなぎ)です。

裸蛹(らよう)とは?

裸蛹(らよう)は、脚や触覚が胴体部から離れています。カマキリモドキのように、蛹なのに歩くこともできる昆虫もいます。

大人になるための最終変身 羽化の工夫

幼虫や蛹(さなぎ)が羽化(うか)するのは、昆虫が大人になるための大きなイベントです。

羽化(うか)した直後の昆虫の体は柔らかくて飛び立つことも出来ないので、外敵に襲われると、助からないでしょう。

そのため、昆虫はさまざまな方法で羽化(うか)を無事に乗り超えようと努力します。

セミやトンボ

セミやトンボは、蛹(さなぎ)にならない不完全変態の昆虫です。彼らが成虫になるための最後の脱皮(羽化)の時には、柔らかくて無防備です。

そのため、少しでもリスクを減らすため、外敵に見つかりにくい夕方から早朝までの時間帯を選んで、脱皮します。

クワガタムシ

クワガタムシは、蛹を経て成虫になる完全変態の昆虫ですが、蛹の形態は脚や触覚が胴体部から離れている裸蛹(らよう)です。

ノコギリクワガタは用心深いため、羽化後も数か月間は、朽木内に留まって体が完全に硬化するのを待つと言われています。

蝶の羽化

蝶のように完全変態の昆虫が羽化するのを目撃すると、あまりにも大きな変化や神秘的な世界に感動するでしょう。

特に、蝶は、脚や触覚が胴体と一体化した被蛹(ひよう)のため、蛹の中から出てくる姿には驚かされます。

蝶は、昼間に羽化しますが、短い時間で翅を伸ばして体を硬くします。つまり、羽化の時間を極力短くすることで、危険を回避しようとしているのでしょう。

まとめ

昆虫の変化しながら成長する姿には驚かされますが、幼虫から成虫になる時の羽化(うか)する時間帯は、とても無防備な状態です。

昆虫は、そんな危険な時間帯を少しでも避けるためにさまざまな工夫をしています。

また、学問的な分類の完全変態と不完全変態は、次のような関係です。

完全変態とは、成長に伴う変化の中で、蛹という形態をとるものです。

そして、完全変態は、蛹にならない不完全変態が進化したものという説が有力です。

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