20%程いると言われている働かないアリは、緊急時の為に休んでいるものでしたが、脳内の神経伝達物質のオクトパミン量が通常よりも多いアリは、どんな状況になっても働かないアリでした。オクトパミンは、どんな生き物にも存在するものですが、やる気の出ない脳内物質と言われています。
本当に働かないアリはいた
以前読んだ本には、アリには「働かないアリ」が20%程いると書いてありました。
また、別の書籍には、アリだけでなく、集団で生活している様々な生き物の世界で同様のことが起こっていると記載してありました。
ただし、ここで言っている20%程の「働かないアリ」は、働く必要のない時だから休んでいるということです。
子育てで忙しい時や、敵が侵入した場合等には、直ぐに働くアリに戻ります。
ところが、最近読んだ本によると「働かないアリ」は、全てのことに対してやる気がないというのです。
しかも、「働かないアリ」の脳内にある神経伝達物質には、「やる気の出ない脳内物質」が多く存在したということです。これは初めて知りました。本当に驚きです。
この新しい発見は、脳内の神経伝達物質によって影響を受けるアリの行動についての内容です。興味深いので、詳しい内容を紹介します。
働かないアリの脳内にはオクトパミン量が多かった
前章の内容が書かれていた本は、
「アリ! なんであんたはそうなのか」尾崎まみこ著 発行所:株式会社化学同人
です。
この本によると、研究室でアリの一家を飼育すると、「働かないアリ」は本当にいると書かれていました。
著者によると、急に飼育箱の蓋(ふた)をあけると、通常のアリは大慌てで動き回ります。ところが、「働かないアリ」は、べったりと体を床にふせたまま動こうとしない。と記載されています。
又、別の巣のアリを連れてきて出会わせても、攻撃しません(普通なら、直ぐに戦います)。
意識レベルが違うため、「働かないアリ」と「普通のアリ」の脳内物質を調べると「オクトパミン」という神経伝達物質に差がありました。
「働かないアリ」の「オクトパミン」は「普通のアリ」よりも多かったのです。
オクトパミンとは?
オクトパミンは、タコに存在するアミンとして、最初に発見されました。このオクトパミンは動物界の生き物は大抵持っていて、人にもあります。
働かないアリの脳内にあるオクトパミンの量は通常のアリに比べると多いということです。
現在、無脊椎動物とオクトパミンの研究は進んでいて、無脊椎動物の行動や、行動の動機づけに関わっていることが確認されています。
まとめ
20%の働かないアリは、緊急時の為に休んでいるものでした。ところが、脳内の神経伝達物質のオクトパミン量が通常よりも多いアリは、どんな状況でも働かないアリでした。
「働かないアリ」の脳内に多く存在した「オクトパミン」が、何故多くなったのかの究明には、とても興味があります。
何かが作用して、この物質が増えてきたことが明らかになれば、その対策にも期待が膨らみます。
社会現象にもなっている、80,50問題の解決の糸口になれば最高です。