ジグモの巣の作り方と獲物の捕らえ方

ジグモの巣 昆虫・虫
ジグモの巣

ジグモという黒くてツヤツヤしたクモは、大きな牙とぷっくりと膨らんだ楕円形のお尻をしています。ジグモは、土に汚れた細長い袋状の巣の中で獲物を待ち構えています。この記事では、ジグモの独特で丁寧な巣作りと獲物の捕獲方法について、紹介しています。

細長くて汚らしいジグモの巣

最近は、以前ほど見かけなくなったため、ジグモの巣を見たことのない人もいると思います。ジグモの巣は、少し大きめの石の側面や木の根本、家の軒下の壁などに沿って作られた、ふわふわした細長い袋状の形をしています。

ジグモの巣は、獲物を捉える罠としての役目を担っています。その為、周囲の雰囲気に溶け込むようにするため、土や小さなゴミなどを表面に付けています。この巣はちょっと汚らしいですが、時間をかけて丁寧に作られます。そして、袋(巣)の中で、ジグモは静かに獲物を待ち伏せています。

そんなジグモのユニークな巣の作り方や、獲物の捕らえ方などを、次に紹介します。

ジグモの巣の作り方と獲物の捕らえ方

ジグモは、穴を掘るのが苦手なクモです。そのため、ジグモの巣作りは地面に接した壁付近を調べて、穴を掘りやすい場所を選ぶことからはじめます。気に入った場所を見つけると縦穴を掘りはじめます。

穴の深さは個体の大きさで変わりますが、大きなジグモは10㎝ぐらいの穴を掘ります。ジグモは、穴を掘る途中で、穴の内壁を自分の糸で丁寧に裏打ちします。

つまり、穴の土壁が崩れないように、クモの糸を内壁に付着させながら、穴の底の土を外に出すことを繰り返して掘り進めます。

そして、目的の深さまで掘り終えると、細長い袋状の巣は、地上部に延長して、適当な高さで壁に固定します。地上部は、獲物を捕獲する罠(わな)です。その為、ふわふわした細長い袋部の外側には、周囲と同化するように土やゴミなどを付けて、偽装(ぎそう)します。

地上部の巣の作り方

ジグモは夜になると、ぷっくりとしたお尻を上に向けて逆さ向きになります。そしてお尻を左右に振りながら糸を出して、地下部の袋とつながった地上部の袋を作り始めます。

この作業も慎重に日にちをかけて少しずつ作ります。

地上部の長さは個体の大きさで違いますが、大きなものは、10㎝程の長さです。袋が目的の大きさになると、最上部を木の幹や壁に付けて完成です。

工数は、およそ5日ですが、ジグモは巣の完成後も、たびたび袋の内部から糸を裏打ちして補強します。そのため、月日が経過した巣は、袋の厚みが増して丈夫になります。

ジグモとはどんなクモなの?

子供の頃は、ジグモの細長い巣を、ゆっくりと引っ張り出してツヤツヤした黒っぽいクモを捕まえて遊んでいました。

ジグモは、10mm〜25mm程のサイズのクモです。ジグモの外形は、大きな牙とぷっくりと膨らんだ楕円形のお尻が目立ちます。但し、ジグモそのものは、汚らしい巣とは違って、黒光りしてツヤツヤ輝いています。

ジグモに近い仲間には、トタテグモやキムラグモという古い系統のクモがいます。彼らは、乾燥に弱いため、土中に穴を掘って生活しています。

日本にいるジグモは北海道を除いた、本州、四国、九州に広く生息しています。ジグモは、台湾や中国にもいるようです。

獲物の獲り方

普段のジグモは、袋の底のほうでじっとしています。ところが、獲物が巣に触れて袋が振動すると、素早く袋を駆け上がって、袋の内部から獲物に鋭い牙を突き刺します。

牙には獲物を麻痺させる毒があるので、獲物は、直ぐに動けなくなります。すると、獲物がいる部分の袋を破いて、袋の中に獲物を引き込んで地下部に一旦置いた後、破れた穴を修繕しに戻ります。

袋の修繕を終えると、獲物の体内に消化液を注入して溶かした体液を吸い上げてしまいます。これが、ジグモの食事方法です。

食事後の獲物の残骸は、袋の上部を破いて外に廃棄しますが、破いた袋は同じようにして修繕します。

繁殖期の行動

ジグモは、普段は地上には出ませんが、繁殖期になるとオスはメスの巣を探しに外に出ます。

そして、メスに気に入られたオスは、子孫を作るため、暫くメスの巣に同居します。ところが、オスの消息は、いつの間にか途絶えてしまいます。ひょっとすると、メスの栄養になってしまったのかもしれません。

尚、夫婦になったオスが、奥さんのメスの巣に入る時には、オスが巣を触った振動をメスが覚えています。そのため、メスは、オスを配偶相手であることを認識して、招き入れると言われています。

まとめ

ジグモは黒くてツヤツヤした大きなクモで、大きな牙もあります。子供の頃は、手の平の中に入れて遊んでいました。しかも、獲物を麻痺させる毒を持っているようです。恐らく、小さな虫に効く程度の毒なのでしょう。

そもそも、噛まれたことはありませんが、今ジグモを見たら、素手では、触れないでしょう。

ジグモにとっては、子供の皮膚でも硬いのかもしれません。

子供時代は巣をみつけると、ジグモを捕まえるために、巣を壊していましたが、ジグモの巣作りは、とっても丁寧です。今は、これほどまでに丁寧に巣を作るクモだと知って申し訳ない気持ちになります。

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